今回はオーク住吉産婦人科の船曳美也子先生にお話を伺いました。先日、毎日新聞のニュースにも取り上げられたのでご存知の方も多いかと思います。

将来の出産に備え、独身だった41歳の時に自分の卵子を凍結保存した大阪府内の女性看護師(44)が昨年、その卵子で女児を出産したことが分かった。がん治療など医学的な理由で卵子を凍結し、妊娠・出産した例はあるが、仕事など社会的理由を背景にしたケースが確認されたのは初めてとみられる。
(後略)

出典:毎日新聞 2016年2月2日

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船曳美也子先生

船曳先生は、卵子凍結にいち早く積極的に取り組み、常に不妊治療の最前線で治療にあたっていらっしゃいます。著書には女性のおいしい生き方や妊活などを盛り込んだ「女性の人生ゲームで勝つ方法」(主婦の友社)があり、こちらは女性ならずとも一読したい一冊です。

また、船曳先生がクリニックで開催されている卵子凍結セミナーでは、卵子凍結についての知識だけではなく、セミナー後に同じ悩みをもつ方と交流することもでき、好評を博しております。

今回も非常に興味深いお話を伺うことができました。では、インタビューをどうぞ!

卵子凍結を受けられる方は増えてきていますか?

そうですね、卵子の老化が話題になった3年前から増えています。2012年までは一桁、2013年が23人、2014年が92人で2015年は140人でした。

最近では、そろそろ使い出す方が出てきて、現在は融解して戻した人が10名を超え、妊娠反応が出た人が4人、うち1人が出産となりました。使用された方の凍結時の平均年齢は41歳でした。

去年、ヨーロッパでプレスリリースされた論文では、強く自然妊娠を希望するのであれば、家族計画として32歳までに妊活をすべきだ、としています。これは子供が1人の場合に限った年齢で、IVF(体外受精)も考えるのであれば35歳までに。子供が2人欲しいと強く思うならば27歳、IVFをしてもいいのであっても31歳までに始めたほうがよい、という報告です。

妊娠は一人でできるものではないですし、まずパートナーをもつかどうか、そのパートナーが子どもを希望するかどうかの問題もあり、なかなか一人で決められることではありません。ですが、やはり男性も女性も、女性の生殖可能年齢に対して意識をもっておかなければ、一時的であっても、あとでつらい思いをするかもしれませんね。

なので、何か一人でもできることはないですかと聞かれた場合は、卵子凍結という技術もありますよ、という情報は伝えるべきだと思っています。

卵子凍結は費用もかかりますが、40歳前後でするよりも35歳前後で考える方が費用対効果も高く、妊娠率も当然上がります。また、閉経してしまっては、自分の卵子の妊娠は不可能になります。妊娠するかどうかの原因には、卵子の染色体の部分のウエイトは大きいので、加齢に対する予防策というと、卵子凍結は現在のところ、最も科学的な解決方法ではないかと考えています。

かなり早くから積極的に卵子凍結に取り掛かられてきたと思います。その結果として、非常に多くの実績や症例を積み重ねていますね

私が女性だったから、かもしれません。男性は技術の問題というより、感覚的に卵子凍結に抵抗のある方が多いように感じます。男性は新しく精子を作ることができますし、50代前半で20代の頃の7割程度、妊孕力が残っています。50代でも精液所見は正常範囲内に入るかたが多いです。

女性は、時とともに自身の体が変化していくのを体感します。また、新しく卵子を作れず50歳前後では閉経してしまう、そこに温度差があるかもしれません。モチベーションが全然違うと思いますね。私の若い時代に卵子凍結があったら良かったのになと本当に思います。

クリニックでは、以前より男性不妊にも力を入れていますが、どのようなことを行っているのでしょうか

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クリニックの外観です

男性不妊については、当院の多田佳宏医師を中心に、泌尿器科の先生にも加わっていただいて治療にあたっています。TESE(精巣内精子採取術)はもとより、さらに精子に注目すべく、特殊精液検査としてハロースパームテストで精子のDNAフラグメンテーション(DNA断片化)を調べたり、ヒアルロン酸成熟精子選別法やIMSIを用いた顕微受精を行ったりしています。

受精障害の場合、精子による受精障害と卵子による受精障害の原因があり、精液検査はその鑑別のひとつとして用いています。精子による障害の場合、形態や運動性だけで選ぶのではなく、上記選別法で成熟した良質な精子を選ぶことができます。