百貨店積立の制限はもちろんある
素晴らしいことばかり見える友の会ですが、やはり注意事項もいくつかあります。最大の注意点は、その積立額(とボーナス額)はそのデパートで使わなければならないということです。百貨店の全国共通商品券とは違いますので、他のデパートで使うわけにはいきません(同じデパートの支店であれば使える)。
これはつまり、「使うアテがないのに積立をするとムダなお金を使うことになる」ということです。どんな高利回りもムダづかいで消費しては意味がありません。
もちろん、破綻リスクについても考えておくべきです。銀行の預貯金のようなペイオフ(少なくとも1000万円の元本は守られる)のしくみはありません(いくら戻るかは破綻時の状況による。割賦販売法により半額は戻る可能性が高い)。
デパートを信頼するのはほどほどにして、最悪のケースがあっても割り切れる積立額にするべきでしょう。つまり、定期預金をするような感覚で毎月5~10万円積み立てるようなやり方はオススメできない、ということです(そもそもそんな金額はデパートで使い切れないでしょうが)。
本来買わなくてもいいものを買うのならどんな高利回りも無意味であることに要注意
また、この手の積立の危険なところは、「せっかく積み立てたのだから何か買おう」とか「せっかく積み立てたのだからどこか旅行へ行こう(旅行代理店も同様の積立を行っている)」と考えるようになることです。これは要注意です。仮に、「毎月5000円くらいは飲食し、年間7万円くらい服を買う」ということが明らかになっているのであれば、年間利用額13万円に対して毎月1万円の積立は価値があることになります。実質12万円で13万円の買い物ができているからです。
しかし、積み立てがなければそもそもデパートで高級品を13万円買わない人が、積立を理由に無理をして買うのでは本末転倒です。
デパートではなく地元のスーパーやネットショップで買えば割安で買えるものを「13万円使い切れないので何か買い物しないとしょうがない」とデパートで買うようなこともありがちで、これもまったく意味がありません。
節約を考えている人も同様です。どんなに高利回りであってもデパートでの利用しかできない買い物(普通は高級品ですよね)のため、積立を無理に行う必要はないはずです。
安易に「高利回りの定期預金のような感じ?」と思うのはNGです。友の会方式の百貨店の積立を無理なく上手に使いこなすためには、かなり意識的に行うことが必要なのです。
せっかくの高利回りはありがたい話ですが、これは慈善事業ではありません。それだけのプレミアムをつけてもデパートにとってはそれ以上の儲けになるから友の会は成立しているわけです。そこは忘れないことが大切です。
(もう少し追記すれば、実際に使うお金は1年前から先払いしたお金であり、実際に使う時点までさらに時間がかかることを考えれば、デパート等にとってはキャッシュを先に得て事業資金とできる大きなメリットがあります。ある意味、デパートにお金を貸しているわけですから高利回りはある意味当然の対価なのです)
少なくとも「自分は1万円のプレミアムを自分のメリットとできるか」と疑ってかかり、本当に活用できるかじっくり検討してみましょう。
くれぐれも、「高利回りと思ったら、ムダづかい誘発装置になった」としないようにしたいものです。