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「好きな会社に投資してはいけない」のはナゼ?

応援したい企業に投資をしたらいいという説がありますが、本当でしょうか?自分の勤務先の自社株を買うことを推奨する人もいますが、それは効率的でしょうか。本物の投資家は、投資先の選択に好き嫌いの感情をはさみません。クールに判断することのススメです。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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勤務先の株に投資する?

投資では、応援したい企業に投資したらいいという説があります。確かに、気に入った企業、好きなブランド、地元の企業に投資しているという人は少なくありません。その極め付けは、自分が勤めている会社に投資することです。すなわち、自社株を買うこと。

自社株であれば、少し安く買えるとか、手数料なしで買えるとかの優遇策があります。自社株をたくさん持っていることで、愛社精神の証明にもなり、出世にも推進力となりそうです。

しかし、自分の給料と投資の損得が、同一の企業に依存していることは、究極の集中投資です。万が一、会社が倒産したり、その危機に見舞われると、従業員としての報酬と投資家としてのリターンの両方を一気に失いかねません。

勤務先が倒産するかもしれないから、自社株は買わないと考えることは、不謹慎ですが、自社株以上に効率的な投資対象を求めることは、ごく普通の合理的判断といえます。自社株に投資するにしても、自分の資産の数パーセントに留めるべきというのが、私の持論です。
 

応援する気持ちで投資する?

では、好きな企業やブランドに投資するというスタイルは、どうなのでしょう。応援する気持ちで投資するということは、決して間違った考えではありません。

一つは、その企業や商品をよく知っている。だから、業績が良くなることをいち早く感じることができるという因果関係があります。これは、一般消費材やサービス業の銘柄に関して当てはまることです。

もう一つは、応援したい気持ちが、投資をするインセンティブになるという長所があります。人を応援したい!ついでにお金も増えるかもしれないと考えることで、重い腰を上げて、投資に挑むことができるからです。

しかし、好きな銘柄を思い切りよく売れるかという問題は残ります。本来の投資であれば、有望であれば買い、失望すれば売るという果敢な判断が必須です。好きだから、応援したいから、売れないということが、自分の資産を減らすことになるとしたら…それは投資とはいえないのでしょう。
 

好感…それはバイアスかも

バイアスは、偏見とか先入観と訳されます。自分の脳の中にある潜在的な意思や感情なのですが、それは人の行動を誤らせることがあります。例えば、慣れ親しんだ銘柄を良い投資対象だと思い込むとか、表面的なイメージや外見だけで中身を過大評価してしまうとか、過去に儲けさせてくれた企業の好成績が今後も続くと疑わないとかの非合理的な判断と行動につながることがあるのです。

人を応援するという錦の御旗は、そのバイアスの正当化に使われることが多いのです。
 

投資はクールに!

本物の投資家は、銘柄の判断に自分の好き嫌いを挟みません。好きな企業であっても、株価が下がると思えば、冷淡に売ります。嫌いな経営者の企業でも、株価が上がるなら問答無用で買います。

かつてゴールドで儲けたことがあるからといって、ゴールドに愛着を感じることもありません。ユーロで稼いだ記憶があるからといって、ユーロで”夢よもう一度”とは思いません。その時その時で、旬の資産、扱うべき銘柄をクールに選別する。それが一流の投資です。

三流の人は自社株に投資し、二流は好きな企業に投資する。一流は好悪で銘柄を選ばない。投資は、クールに行った方がいいですよ。

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