マレーシア/マレーシアのグルメ・レストラン

マレー半島の南端、ジョホールの絶品グルメ

日本に郷土料理があるように、マレーシアも地方ごとにバラエティに富んだ美食があります。今回は、マレー半島最南端、ジョホール州の名物料理を紹介。詩人の金子光晴が愛したカフェ文化。そして、日本食にも通じるふくよかなダシ文化に出会えます。

古川 音

執筆者:古川 音

マレーシアガイド

最先端の都市計画で注目されるジョホール州は、美食タウン!

ジョホール州の旗

ジョホール州の州旗。イスラム世界を象徴する月と星がデザインされている。隣国シンガポールまで車で30分とあって、シンガポールからこの地を訪れる人は多い

タン・ジェシーさん

タン・ジェシーさん(通称タンさん)。96年に来日し、現在は日本でメディアアート作家として活躍

政府主導の大規模な都市計画がすすみ、アジア初のレゴランドや名門インター校が建設されるなど、世界から注目を集めるジョホール州。とはいっても、未来都市のような完成形ができあがるのはまだまだ先の話で、実際に訪れてみると、昔と変わらないのどかな田舎町が広がっています。

州都、ジョホールバルについてはこちらの記事で紹介しています。

さて、マレーシアで美食の町といえばペナン島がよく挙げられるのですが、南部出身者の間ではジョホールという説が有力。というのも、北部と南部では味覚が異なり、たとえ同じ料理名でも味つけが違うのです。

というわけで今回は「僕の町が一番おいしい!」と胸を張るジョホール州出身のタンさんに、自慢の料理を紹介してもらいましょう。

駅の小さなカフェが、今や首都クアラルンプールにも出店!

カヤトースト

「実家に帰ると、朝ごはんは必ずカヤトースト。おやつにも出るので、多い時には日に何度も食べます。珈琲は砂糖入りでミルク無しの“コピオコソン”が定番です」とタンさん

「カヤトースト(Kaya Toast)」と珈琲。まるでモーニングセットのような組み合わせですが、これぞ、ジョホールっ子たちが愛する食事。カリッと香ばしく焼いたトーストを2枚重ね、なかにココナッツミルクで作った甘いカヤジャムと塩気のあるバターの“甘塩”コンビが挟んであります。

このメニューを提供するコピティアム(喫茶店)は町のいたるところにありますが、なかでも有名なのが鉄道駅にある「クラン・ステーション」。人気になり過ぎて、今や、首都クアラルンプールにも展開しています。

レンギット珈琲

「リンギット珈琲が購入できるのはジョホールだけ。クアラルンプールでも販売してないんですよ」とタンさん

また、ジョホールは珈琲がおいしいです。注目して欲しいのは、地元産の珈琲豆を使った「レンギット珈琲(Rengit Coffee)」。マレーシア産の珈琲ではめずらしい、焙煎する際に何も加えていないピュア珈琲で、コクのある香りが持ち味です。

 

<DATA>
■Kluang Station(1号店はクラン駅の改札横、2号店はそこから車で10分)
2号店の住所:20 & 21,1st Floor &Ground Floor, Jalan Tasik 1,Pusat Perniagaan Tasik, 86000 Kluang, Johor

Rengit Coffee(バトゥ・パハのモール内)
住所:G62&63 Batu Pahat Mall

太麺に絡みついたスパイスたっぷりの濃厚グレービー!

ミールブス

「グレービーソースには、ほんのり甘みがあります。これは、すりおろしたサツマイモを加えているため(タンさん)」

ジョホールを代表する麺「ミールブス(Mee Rebus)」。濃厚なカレー味のグレービーソースを中太の麺にからめて食べる料理で、ソースの粘度からいうと、カレーうどんのようなイメージです。

ソースは、じわじわ広がる唐辛子の辛さのなかに、鶏だしのうま味と甘みが広がります。具は厚揚げ、海老、ゆで卵。ときどき、飾り(?!)のようにふりかけられている唐辛子は激辛なので、人生に刺激が欲しい人以外は、よけて食べましょう。

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■Haji Wahid (ラ―キン・バスステーション内)
住所:Stall MS 35, Food Centre at Larkin Bus Station, Johor Bahru

長方形のご飯に様々な具を豪快にかけた「ロントン」

ロントン

「実家の近くにロントンのおいしい店があったので、幼いころから大好き。シンガポールやインドネシアでも人気の料理です(タンさん)」

写真で白く見えているもの、これ、お米です。型に入れたまま長時間お米を茹でることで、粒が無くなるほどにぎゅっとプレスされます。これを適度にカットし、上にさらさらのカレースープや肉の甘辛煮などの具をかけて食べる料理が「ロントン(Lontong)」です。カレー味もいいのですが、おすすめは写真の牛そぼろ! 肉じゃがにそっくりの味で、異国の味とは思えません。ジョホールの人とは仲良くなれる、そう確信したひと皿です。

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■Warung Saga(写真のロントンとは異なります)
住所:5, Jalan Mahmoodiah, Johor Baru

心も体もほっこり温まるスープ麺。タンカビーフヌードル

ビーフヌードル

「すべらかな食感の米麺クイティオがおすすめ。でも、もっちり食感のイエローミーも捨てがたい(タンさん)」

ふくよかな鶏のダシが効いたスープ麺「タンカビーフヌードル(Tangkat Beef Noodle)」。クリアなスープは塩ラーメンのようにすっきりしていて、日本人も非常に食べやすい味です。タンカとは発祥の地の名前のこと。特徴は、上にどっさりのっている牛肉で、ホルモンや肩ロースなど様々な部位が楽しめます。酸味がきいたチリソースをひとたらしすれば、さっぱりといただけます。

<DATA>
■Restoran Kuang Fei
住所:20, Jalan Solok, Tangkak, Johor

ほんのりスパイスが効いたマレーシア版のかまぼこ

オタオタ

「ジョホールに来たなら、オタオタはぜひ食べて欲しい! 炭火で蒸し焼きにするので、身はふっくらしています(タンさん)」

スパイスを練りこんだ魚のすりみをバナナの葉にくるんで蒸し焼きにした「オタオタ(Otak Otak)」。マレーシア全土で見かける定番の屋台料理ですが、ジョホール州のオタオタ(中でもムア地方)が一番おいしいと言われています。オタオタは、メインの料理が来るまでの前菜としてどうぞ。冷たいビールによく合います。

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ジョホールバルなら、メルリンタワー近くの屋台で提供しています。

懐かしいスルメのサラダ

ソトン

「日本でスルメを見たときはびっくりしました。僕の故郷でも人気のおつまみです(タンさん)」

日本でもおなじみのスルメは、ジョホールでも人気です。スルメを火で炙ってやわらかくし、プレス機で薄くのして、さらにトンカチでがんがんと叩く。このようにして薄くペラペラにしたら、ていねいに手で裂いて、胡麻入りの甘辛のタレをつけていただきます。これはもう、ビールに最高に合います! 空芯菜とあえてサラダにするバージョンもあります。神出鬼没な屋台ですので、見つけたら即お試しあれ。

まだまだあるジョホール名物!バクテー、アッサムぺダス、ペーパーチキン

バクテー

ジョホール州のバクテー(豚肉の漢方スープ煮)は、クアラルンプールのものに比べると比較的クリアな色でさっぱりした味(写真提供 あすみさん)

前回のジョホールバル記事でも紹介したとおり、バクテー、アッサムペダス、ペーパーチキンも人気です。これらもぜひチェックして下さい。

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■順順興肉骨茶
住所:43, Jalan Serigala, Taman Abad, Johor Bahru

地方ごとに様々な美食が味わえるマレーシア。旅をすると、帰るころには「あれも食べてみたかった」「これが食べられなかった」と気になる料理が続出。そしてまた次に旅をする計画をねってしまう。これぞ、マレーシアごはんの魅力なのです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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