詩人、金子光晴氏が滞在したジョホールバル

バトゥパハ

女性用のバジュ(衣装)の店。色鮮やかなマレー系衣装が風とたわむれている

ジョホールバルといえば、詩人の金子光晴氏が綴った『マレー蘭印紀行』のバトゥパハの章を思い出す人も多いでしょう。「芭蕉(バナナ)二本と、ざらめ砂糖と牛酪(バター)を塗ったロッテ(パン)一片、珈琲1杯」を毎朝屋台で食べた金子氏。彼が見た「銀色がかった、うるみがちな川霧」は、今もなおジョホールバルの景色のひとつです。ゆったり流れる時間のなかで、ラインストーンをあしらった“ジョホールバジュ”で着飾った女性が町を華やかに彩っています。

開発都市として有名になりつつあるジョホールバルですが、開発地区は中心地と距離がけっこう離れています。ですので、中心地は昔と変わらない田舎街。観光客の訪れる名所というよりは、地元の人が毎日の生活を大事に送る場所、それがジョホールバルです。

大規模な都市計画「イスカンダル計画」

イスカンダル地区

開発中のイスカンダル地区。JBの中心地から車で約1時間。開発費は10兆円の予想。現在3兆円が費やされている

プテリヨットハーバー

プテリヨットハーバー。この湾の向こう側にはシンガポールが見える

のどかな地方都市ジョホールバル(JB)が、にわかに世界の注目を集めるようになったのは、大都市計画「イスカンダル計画」によるもの。シンガポールからバスでたったの1時間という地の利を武器に、アジアビジネスの拠点を目指して2006年よりスタート。東京23区の3倍もの広さを誇る土地が開発されています。名門インター校、高層コンドミニアムなどの高級レジデンス、アジアで初めて建設されたレゴランドなど、衣・食・住・遊の環境を最高レベルで整えて、世界の優良企業を誘致する構想。最近では、投資目的のコンドミニアムの購入や、インターナショナルな環境での子育てのために、家族でJBに移り住む日本人もいます。

ただ2014年4月現在、「イスカンダル計画」は全体のまだ10~15%ほどの完成度。パンフレットに描かれた夢のような都市が現れるのは、もうしばらくかかりそうです。

ジョホールバルへのアクセス

ラーキン

長距離バスのターミナル「ラーキン・バスステーション」。中心地まではタクシーで約20分

日本からの直行便はないので、クアラルンプールで乗り換えです。クアラルンプール国際空港(KLIA)から約1時間でセナイ空港に到着。長距離バスなら、チャイナタウンのコタラヤ・バスターミナルから5~6時間でラーキン・バスステーションに到着します。どちらも、ジョホールバルの中心地まではバスまたはタクシーで移動します。

もうひとつのアクセス方法はシンガポール経由。税関を通るのはすこし面倒ですが、首都クアラルンプールよりお隣の国シンガポールのほうが、ジョホールバルはずっと近いのです。シンガポールのアラブ人街「ブギス」から、エキスプレス・バスで約40分。一般の路線バスも頻繁に出ています。マレーシア側税関とショッピングモール「シティスクエア」が連結しているので、そこでバスを降りることも可(チケットはその先の停留所まで購入)。週末ともなると税関は行き交う人々で大混雑。国境の町ジョホールバルは、人も食も文化もシンガポールと密接な関係にあるのです。