粉製品の保存方法に注意! 台所からのアナフィラキシーとは

小麦粉

残った粉製品を長期間を保管する時には注意が必要です

小麦粉、お好み焼き粉などを常温で保存していませんか? 知らず知らずのうちにダニが増殖してしまい、それを食べてしまうことで重篤なアレルギーである「アナフィラキシー」を起こす可能性があります。

東京都福祉保健局によると、1993年の最初の報告以降、このアナフィラキシーは国内外で59例の報告がされているそうです。これまでの報告では、原因となった粉製品は、開封後に数ヶ月間から数年にわたって室温保存していたものでした。また、発症したすべての人の血液検査で、ダニアレルギーが見られましたが、アナフィラキシーを起こすまで特にダニアレルギーであることを自覚していない人もいたので、誰でも注意しなければいけない病気とも言えます。

ダニの繁殖力は10週間で約300倍! アナフィラキシーの原因と症状

■原因
アレルギーの原因になるのは、ダニの死骸や糞などのタンパク質です。ダニは温度25~30℃、湿度60~80%で、かつ餌のある環境であれば繁殖します。卵から成虫までは約1ヵ月で、寿命は2~3ヵ月です。この間に50~100個以上の卵を産みます。そのため、10週間も経つと約300倍に繁殖してしまうと言われています。粉製品の袋を開封後、小さな穴からダニが侵入した状態で引き出しなどに閉まっておくと、室温で、かつ湿度も高くなるため、ダニが繁殖し、アレルギーを起こす成分が増えてしまいます。

ダニの主な餌は人やペットなどの食べこぼしや抜け毛、フケですが、お好み焼き粉やホットケーキミックスなどの粉製品もダニの餌になります。特にお好み焼き粉には、味や風味の点で魚介エキスを含むアミノ酸が含まれていることがあるため、よりダニが繁殖しやすくなるのです。

■症状
パンケーキやお好み焼き、たこ焼きなどの粉製品を摂取した直後から1時間以内に症状が現れます。症状としては、咳や息ができない呼吸困難、ゼイゼイ、ヒューヒューといった喘鳴、白く盛り上がった湿疹である血管浮腫、鼻づまり、蚊に刺されたような蕁麻疹などが起こります。意識障害や血圧が下がったショック状態になることもあり、重症例も多いのが特徴です。

開封した粉製品の保管方法は? 密閉保存・加熱でもリスクあり

お好み焼き

ダニアレルギーは加熱したからといって、安心できるものではありません

前述の通り、アレルギーの原因になるのは、ダニの死骸や糞などのタンパク質です。加熱すればダニ自体は死滅しますが、アレルギー性が低下しない成分があります。そのため、繁殖しきった材料をお好み焼きやホットケーキにしても、アレルギーを起こす可能性があるのです。

「ダニ繁殖小麦粉食品によるアナフィラキシーとその対策(小児科,45:1458-1464,2004)」によると、家庭で保存されていた粉製品のうち、開封部分を折り曲げて輪ゴム・クリップで閉じたものや密閉容器に保存していたものでも、ダニは検出されたと報告されています。

また、未開封のミックス粉と未開封の薄力粉をダニとともに培養すると、ダニが繁殖することがある研究で証明されています。特に、薄力粉に比べミックス粉でダニは増殖しやすいようです。

ダニの繁殖を防ぐために簡単にできる工夫と対策

ダニの大きさは0.3~0.5ミリメートルで、目には見えません。ダニの色も透明に近く、肉眼的に粉製品にダニが増殖しているかは分かりません。もちろん顕微鏡を使えば見ることができますが、当然毎回確認するわけにはいかないので、ダニを増やさない工夫が重要です。

まず、開封したら早めに使い切ることが大切です。もしも使いきれなかった場合には冷蔵庫で保管して下さい。可能なら除湿剤などを入れて密封容器で保存するとよいでしょう。冷蔵していても安心せず、早めに消費しましょう。できれば、小分けになっている製品を使うのがお勧めです。

■参考文献
Anaphylaxis after ingestion of beignets contaminated with Dermatophagoides farina(J Allergy Clin Immunol 92:846-849,1993)
お好み焼き粉に繁殖したダニによる即時型アレルギーの2例-Inhibition immunoblot法による原因抗原の検討と粉の種類によるダニ数及びダニ抗原増加の検討-(日皮会誌 120:1893-1900,2010)
ダニ繁殖小麦粉食品によるアナフィラキシーとその対策(小児科 45:1458-1464,2004)
ダニ混入お好み焼き経口摂取によるアナフィラキシーの2例(J Environ Dermatol Cutan Allergol 2:123-129,2008)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項