安全装備の充実と空力性能にこだわった新型アウディA4
メルセデス・ベンツCクラス、BMW3シリーズ、そしてアウディA4は、欧州Dセグメントを代表する3台であり、各ブランドの売れ筋モデルでもある。
最高峰のメルセデス・ベンツSクラス、BMW7シリーズ、アウディA8にはブランドの威信がかかっているが、Dセグメントモデルも台数が期待できるだけに、負けられないという意味では最上級サルーンと変わらない激烈な競争が繰り広げられている。
さらに、ジャガーXEやレクサスISといったドイツプレミアム御三家以外の車種も急速に力をつけているからさらに激戦となっていて、1台を指名してもらうまでは数多くの淘汰と選択を経ているわけだ。
空力性能の向上で燃費も向上
フルモデルチェンジを受けた新型アウディA4は、まさに全方位進化を遂げたが、プレス発表会でとくに強調されたのは、空力性能の大幅な向上と最新の安全装備の充実ぶり。空力性能は、先代のCd値(空気抵抗係数)0.27(欧州値0.26)から新型は0.23まで下げられているなど大幅に向上している。
ゲストに流体力学研究の第一人者である東洋大学理工学部生体医工学科教授の望月修氏、プロスキーヤーの皆川賢太郎氏を招いて開催された、新型A4のプレス発表でのトークセッションでは、空力性能の大切さがそれぞれの立場で披露された。
普段からQ7やA6といったアウディを駆って高速道路や山岳路などの欧州を走るという皆川賢太郎氏は、クワトロシステムの操縦安定性の高さを評価しつつ、空気抵抗とも戦うスキー(滑降)の世界でも空力性能の重要性を披露。
また、海外の選手などはアウディの風洞施設を使ってレーシングスーツ(スキー)の開発、フォームの確認などをしたことがあるそうだ。
流体力学研究の専門家である望月修氏によると、「Cd値が0.01減ると100km/hでの走行時に1Lあたり700mほど燃費が向上。なお、0.30から0.29に減ると1Lあたり200mほどの燃費向上となり、0.20台でのCd値削減は効果が大きい」そう。
また、空力性能の向上による燃費向上はもちろん、エンジンも燃焼効率の向上が図られており、FF向けの2.0L直噴ターボの「2.0 TFIS」は、190ps/370Nm、18.4km/Lという2.0Lガソリンターボエンジンではクラストップレベルの燃費を実現。
なお、人気のフルタイム4WDである「クワトロ」モデルにも同じ2.0L直噴ターボの「2.0 TFIS」が搭載されているが、4WD向けは41ps/20Nmも出力とトルクを向上させ、最高出力211psを誇るだけでなく、燃費も15.5km/Lと従来モデルから14%向上させている。
注目の安全装備はどうか?
安全装備も最先端の技術が惜しみなく投入されていて、85km/h以下で作動する衝突回避・被害軽減ブレーキの「アウディプレゼンスシティ」、車線逸脱警告とレーン維持機能を併せ持つ「アウディアクティブレーンアシスト」を装備。
さらに、「アダプティブクルーズコントロール」には、渋滞時にアクセルやブレーキだけでなく、ステアリング操作にも介入する「トラフィックジャムアシスト」など、フォルクスワーゲン・パサートにも採用されている技術のほか、交差点などで大型車などに隠れて見落としがちな車両などを検知する装備も用意されている。
まだまだ見どころ満載のアウディA4。注目の走りは機会があればご報告したいが、気になる価格帯は518万~624万円という設定で、FFを含む全車に7速Sトロニックが組み合わされている。