お金の悩みを解決!マネープランクリニック/早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談

40歳、早期リタイアし10歳年上の妻と老後を楽しみたい(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、40歳の会社オーナー。早期リタイアのマネープランについて、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現在の収支が継続するならリタイアは問題なし

先に結論を言いますと、ご相談者が言われているとおり資金が回るのであれば、希望するリタイア生活について、現状のままの収支ペースで資金的には何ら問題はありません。

試算は以下のとおりです。

現在のご相談者の貯蓄ペースですが、いただいた支出データでは毎月の支出は50万円超となりますが、実際は30万~40万円とのことですので、中間の35万円とすれば、手取り月収が60万円ですから、毎月25万円貯蓄に回せます。そのうち、純金積み立てを月7万円しているので、貯蓄は月18万円。

また、ボーナス(※実際にはオーナーのため違うが便宜上ボーナスとする)からも、年間で600万~650万円を別途投資していることになります。
これを、リタイアを希望する50歳まで続けると、貯蓄は2160万円、投資は変動の増減がないとすれば、7000万円近くが、現在の金額に上乗せされます。したがって、50歳の退職時点で、貯蓄が約2700万円、投資商品が約1億600万円、さらに3000万円程度の退職金が加わることになります。

次に、リタイア後の生活ですが、生活費を現在と同レベルの35万円とすれば年間420万円。これにボーナスから支出していた150万円と、希望される年2~3回の海外旅行の費用はそれこそピンキリですが、仮に100万円とすれば年間の支出額は670万円となります。

公的年金が支給される65歳までの収入としては役員報酬があります。これを平均400万円とすれば、年間270万円貯蓄等を取り崩すことになりますので、65歳までの15年間で約4000万円、資産が目減りします。それでも、65歳の時点で手元に残る貯蓄と投資商品の合計は、1億2000万円超ということになります。

65歳以降については公的年金が月15万円、収入として加算されますので、毎年の取り崩し額は100万円程度。ご相談者が90歳まで生きたとして、まだ9500万円は余る計算になるわけです。
 

アドバイス2 今後は投資にシフトせず、現金で貯める

では、不安材料が皆無かと言われれば、数点あります。

まず、リタイア後に続く役員報酬ですが、もし500万円であれば、90歳までにさらに4000万円が生涯収入に加算されますが、300万円であれば逆に4000万円、先の試算より低くなります。

それでも、50年後の90歳まで、途切れることなく、役員報酬が300万円継続されれば、さほど問題ではありません。怖いのは、何かの事情で途切れることです。仮に70歳の時点で途切れたら、先の試算から8000万円を差し引かなくてはなりません。90歳時の手持ち資金は1500万円まで目減りします。クルマの買い替えや介護費用などを考慮したら、やや不安な金額ではあります。

つまりは、ご相談者がオーナーを務める企業の業績次第で、リタイア後のライフプランが大きく左右される。そのことは認識しておくべきでしょう。もし、そこが心配なら、リタイアを55歳に先延ばしにする(ことでより貯蓄を増やす)という選択肢もあります。

もうひとつは、資産が投資商品に偏っている点です。実際にFXで大きな損失を出しているとのこと。現在、高収入であるため、それでもカバーできていますが、今後はリスクを取らず、余剰資金は貯蓄商品にシフトすべきです。そもそも、試算では投資で損失を出すことは考慮していません。数千万円単位で損失を出せば、大きくマネープランが違ってきます。

また、一般にはあまり勧めませんが、個人年金保険に加入して、別途、老後資金を準備してもいいでしょう。予定利率は高くはありませんが、強制的に貯めてくれるという点で、ご相談者には効果的とも言えます。

ともあれ、投資額はこれ以上増やさず、今後は現金で貯めていくことが、現状では最善のリタイア対策です。純金積立もストップした方が賢明でしょう。どうしても投資をというなら、個人型の確定拠出年金で投資信託を毎月購入してください。掛け金の上限(※)が決められているので過剰な投資を避けることができ、節税にもつながります。
 

アドバイス3 お金の流れをしっかり認識しておきたい

もうひとつ気になるのが、お金の流れや収支の認識がアバウトだという点。会社オーナーであっても、リタイア後のマネープランが多少なりとも心配であるなら、まずは家計の内容をそれなりに把握しておくべきでしょう。

毎月の生活費は平均で実際はどのくらいなのか。毎月固定費以外に、不定期の支出は年間どのくらいなのか。1万円、2万円の違いならまだいいですが、月10万円単位で認識と実態がズレていれば、40年、50年で大きな違いになります。奥様の保険の内容や貯蓄額が不明なのも、気になるところ。今後、確認しておくべきでしょう。

もちろん、ここまでの試算や注意点については、奥様の収入や貯蓄は考慮していません。それも加味すれば、さほど神経質にならなくてもいいかもしれません。しかし、ご相談者の収入や資産だけでリタイア後を考えたいのであれば、そのあたりは意識しておくべきだと思います。

(※)企業年金がない会社員は年間24万円、自営業者は年間81万6000円。2017年以降は企業年金がある会社員も年間27万6000円を上限として活用できる。
 

相談者「くーさん」から寄せられた感想

大変参考になりました。ありがとうございます。期待していた通りの内容もあれば、厳しい意見もあり再度家計を見直してみようと思っております。(投資金額をこれ以上増やさないなど)万一リタイア後の役員報酬が0になるようなことになった場合どの程度の影響が出るのか、追加でご質問したい部分もあるのですがいただいたアドバイスの数字をもとに一度自分でも計算してみようと思います。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。






取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ

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