最速157キロ、4者連続三振、圧巻の投球
初回二死から右前打を浴びると、一気にギアを上げた。韓国ロッテの4番打者チェ・ジュンソクをフォークで追い込むと、最後が154キロのストレートで空振り三振に仕留めた。二回は3者連続三振。4者連続三振のフィニッシュとなった25球は、圧巻としか言いようがなかった。
「いい緊張感で投げられた。100%(相手が)真っすぐに(ヤマを)張る中で、ファウルも空振りも取れた。いい1日になりました」
今季初登板にしては満足な内容で、自然と笑みがこぼれた。
メジャーが求めるのは「投手・大谷」か
8日(同9日)、今季初の対外試合となる韓国ロッテとの練習試合に「3番・DH」で出場した打者・大谷は、第1打席で左前打を放った。2打席目は一ゴロで交代したが、バックネット裏には、ジャイアンツ、カブス、ブルワーズ、マリナーズ、ツインズ、マーリンズなど今キャンプ最多となる13球団、20人以上のスカウトが熱視線を送った。ところが、この日のスタンドにはメジャー全30球団、70人以上のスカウトらが陣取った。その中に、カブスはエプスタイン球団社長にホイヤーGМ、レッズはジョケッティ球団社長、ブルワーズはメルビン球団社長、レンジャーズはダニエルズ球団社長兼GМ、パドレスはプレラーGМと球団幹部が直々に訪れた。この時期としては異例な光景で、それだけ「投手・大谷」への期待の大きさを物語る。ジャイアンツのスカウトであるジョン・コックス氏は「1人も塁に出したくないという負けず嫌いな性格がよくわかる。打撃でもいい素材だが、今の投球を継続するなら投手としてみてみたい」と言い、ロイヤルズのメディーナGМ特別補佐は「70%ぐらいだろうけど、すでにどんな投手より上。世界のベストピッチャーの1人。投手として欲しい」と言い切った。また、ナショナルズのロバートソンGМ特別補佐も「投球を初めて見たが、素晴らしい投手であるの間違いない」と大絶賛で、いずれにしても「投手・大谷」が求められ、「投手・大谷」の評価がまた上がった。
当の本人は、現時点でどう思っているのか。登板後のMLB公式サイトのインタビューでこう答えている。「もし自分を獲得したいというチームが投手としての役割を自分に期待しているのであれば、僕は投手としてやっていきます。打者として期待するのであれば、打者で。僕次第というわけではないです」と入団する球団の要望次第で進む道を決める考えを示している。
ポスティング制度を利用してのメジャー挑戦がまだ先の話とするならば、大谷の「二刀流」はまだまだ見られそうだ。