お金の悩みを解決!マネープランクリニック/30代シングルの方のお金悩み相談

34歳独身、月収17万円。住宅購入と老後のお金が心配(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、離婚されて一人暮らしの会社員女性。今後のマネープランについて、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 マンション購入時期は自身のマネープランで決める

最初に、マンション購入から考えてみましょう。マンションを購入すべきか、それとも賃貸のままにすべきかについては、それぞれメリット、デメリットがあり、どちらが得とは一概にいえません。ただし、生涯賃貸となれば、とくにリタイア後は家賃用の備えがある程度必要でしょう。対して、ご相談者のだりあさんは「手元にお金があると使ってしまう」とのこと。であれば、マンションを購入し、あえて住宅ローンを背負うことで無駄遣いが減り、結果的にいいかもしれません。

では、購入するとなれば、その時期はいつがいいのでしょう。それは、自身のマネープランに沿って、自分で決めればいいことです。

その決め方ですが、まずは年齢です。だりあさんの場合、住宅ローンはできれば60歳で完済したいところ。仮に6年後の40歳で購入するとすれば、住宅ローンの返済期間は20年が望ましいということになります。

次に考えるべきは、可能返済額です。それには、住宅のランニングコストも考慮しなくてはいけません。マンションを保有すれば、その管理費(場合によってはプラス修繕積立金、駐車場代)と固定資産税が発生します。そういった維持費を月2万円とすれば、それとは別に毎月住宅ローンをどの程度が支払えるのか。少なくともボーナスの半分は貯蓄できる(現在は貯蓄に回っていない)として、それで家賃程度、月5万円を上限とすべきでしょう。

20年返済、金利1.5%とすれば、1000万円借り入れて、返済額は毎月約4万8000円。つまり、40歳で購入するなら、その時点で用意できる住宅購入の頭金(別途、購入諸経費として100万円程度必要)に1000万円を上乗せした金額が、購入できる物件価格の上限となるわけです。

たとえば、購入したいマンションが1500万円なら、頭金+諸経費で40歳までに600万円が必要。1300万円なら300万円で済むことになります。また、購入時期を40歳でなく、来年35歳に前倒しすれば、ローンの返済期間は25年に延びますので、先ほどと同程度の返済額で1200万円まで借り入れが可能です。しかし、頭金等を用意する期間が1年しかありません。

もちろん、住宅資金を捻出しても、残る手持ち資金がゼロになっては困ります。せめて生活費の半年分、100万円は残しておくことが大切です。
 

アドバイス2 老後よりも近い将来に資金をシフトする

もう1つのご相談内容である老後資金づくりですが、将来を不安に思う気持ちはわかります。しかし、マンションの購入資金と老後資金をともに今から用意するのは、無理があります。

資金作りは基本的に「時間軸」が優先されます。つまり、自分にとって、どちらが近い将来なのかということ。本当にマンションを購入したいと希望しているのなら、まずはそのための家計管理、マネープランを立てるべきです。老後資金については、今はいくら貯めるという目標は作らず、余裕のある住宅購入プランを実践することで、購入後より貯めやすい家計にすることが、結果的に老後対策につながります。

そう考えますと、現時点で、だりあさんの家計は老後にシフトし過ぎている印象があります。確定拠出年金と個人年金保険です。アドバイスとしては、確定拠出年金は継続してもいいですが、個人年金保険は解約すべきではないでしょうか。すでに支払った保険料をもったいないと感じるでしょうが、保険料の月3万円を住宅資金に回せば、より早く目標額が達成できます。ローンの完済を60歳よりも手前にすることも可能でしょう。ここ数年、保険商品の予定利率はさほど高くありません。保険で老後に備えるより、得策だと考えます。
 

アドバイス3 コストをシビアに見詰め、 家計に優先順位を

最後に家計について。

先にも触れましたが、今後、マンションを購入し、老後にも備えるということを考えれば、貯蓄ペースを高めることは必須条件でしょう。

とはいえ、毎月の家計支出を見る限り、保険以外に見直す部分はほとんどありません。そうなると、ボーナスを少なくとも半分は貯蓄に回したいところです。

現在、ボーナスは2つの学校の学費となっています。離婚されたこと、がんを患ったことなどを考慮すれば、人一倍、心の癒しや楽しみ、生き甲斐を求めるのは当然のこと。また、そのために普段の生活は節制されていることも十分理解した上で、あえていえば、この学費は掛け過ぎだと考えます。

どちらの学校も、そこで学んでいることは将来的に収入を得られる可能性もあるとのこと。そのうち、1つは2年と区切りを決められているのなら、そちらは2年間頑張り、もう1つの学校は早めに辞めるべきではないでしょうか。

学ぶことを辞めるのではなくそれだけのコストをかけることを控えたいのです。その資金は、マンションや老後の資金に振り分ける。これについても大事なのは、優先順位です。あれもこれもという余裕は、残念ながらありません。コストをかけず、同様の楽しみや生活の張りを見出すことは、だりあさんなら工夫次第でできるはず。頑張ってください。
 

相談者「だりあ」さんから寄せられた感想

深野先生、アドバイスありがとうございます。とても参考になりました。老後の準備とマンションはやはり一緒には難しいですね……。そして学校も……。まだ結婚したい気持ちもあるのでタイムリミットを40歳までとしてマンションを購入するか決めたいと思います。今はどのようになってもいいようにボーナスの半分は次回から貯蓄していこうと思います。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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