新旧の時代が織りなす旧万世橋駅、赤煉瓦と椅子のある風景
旧万世橋界隈をご紹介した前編に引き続き、赤煉瓦の神田・旧万世橋駅の探索は、まだまだ続く。やはり、その時代の息遣いが聞こえる空間は、現代のペナペナのそれらとは比べ物にならないほど「厚み」がある。階段一つ取っても、その「厚み」がひしひしと伝わってくる。
時代の足跡、旧万世橋駅 1912階段
カフェがある開けた空間から振り返ると階段「1912階段」がある。灰色と黄土色が渾然とした風合いの階段に影を落とす光が美しい。
その陰影を味合うようにゆっくりと階段を降りていくと壁面に「文様」を見つける。
階段の巾木(はばき)だが、ちゃんと意匠されている。下から登ってきた巾木の直線が階段上り口でクルリと巻貝のように丸まって納まっている。
建築の部分の納まり一つに、まるで「物語があるかのような足跡」として意匠されている。時代の全てが記憶されている。
階段を降りていくと階段の踊り場に「1912階段の解説」スタンドがあったので記載しておく。
■旧万世橋駅 1912階段
「1912(明治45)年4月、万世橋駅開業時に作られた階段で、鉄道博物館(のちの喉痛博物館)開館から1943(昭和18)年の駅休止までは、ホームから直接入館できる特別来館口でした。
階段は花崗岩や稲田石を削り出した重厚なものですが、踊り場は当時の新素材であるコンクリートが使われ、壁面のタイルも、覆輪目地(ふくりんめじ)という高級な施工がされているのも特徴です。」(引用:解説文)
こうして当時のものがどんなカタチであれ、残っていることに感謝したい。
都会のド真ん中に100年以上も・・・と言ってもそんなに昔ではないが、現在の日本では稀有な存在。
壊されて消されてしまっては、何もわからないし、感じない。写真や画像ではわからない。
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