タイヤサイズの違いで乗り心地に差があり
乗り味での違いは、電池よりもタイヤサイズやタイヤの銘柄によって差が出る印象で、もちろん車両自体の個体差もあるだろう。17インチと15インチを用意する新型プリウスだが、高めのボディ剛性感とやや引き締まった乗り味というのは両サイズに共通する印象だ。
ただし、「E」グレードはタイヤの内圧が高く設定されているせいか、多少ポンポンと跳ねるような走りに感じられたが、乗り比べての小さな差なので気にする必要はないだろう。
また、「E」はエンジンアンダーカバーのサイレンサーがレスとなっているためか、多少ほかのグレードよりも室内に騒音がこもるような気もしたが、こちらも些末といえる程度で、少しでも燃費の良いモデルが欲しいという人には、「E」を選択する手も(これで十分)という意味でもアリだと思う。
ほかにも、大きく広がった前方、左右の視界により低重心化によって「低い位置に座らせる」運転姿勢もほとんど気にならない。乗降性や視界の確保、狭い道などでの取り回しを考えると、低い位置に座らせることはいいことばかりではないが、前方と左右の視界の改善によって低重心化の実用上のデメリットや相殺されているし、乗り込みにくいとも感じられなかった。
走りは先代プリウスから大きく改善
リチウムイオン電池とニッケル水素電池(4WD含む)では、荷室の高さが少し異なる。低くなっているリチウムイオン電池は、後席を倒した際に少し段差ができてしまう。逆に荷室高ではリチウムイオン電池搭載車の方が高くなっている
それでいて、先代よりも明らかに軽快なフットワークは日常の走りはもちろん、高速道路やワインディングなどを使ったロングドライブにもより出かけたくなるはずだ。
パワステやボディのしっかり感など、「TNGA」のもの作り第一弾としてかなり高いレベルにまで仕上げてきた新型プリウス。「味」の部分でベンチマークとしたフォルクスワーゲン・ゴルフとは、そもそも味そのもの違いや濃さも異なるが、もう少しプリウスなりの個性も欲しいところ。
今後の熟成で変わるのか、あるいはほかのTNGA採用車で実現されるか分からないが、いまや国民車になったプリウスだけに最大公約数的な「最適」な味付けなのかもしれない。