子育て/子育てに役立つ最新心理学

「いい子症候群」に陥らないために親ができること

いい子症候群にならないために親はどうしたら良いのでしょうか。言うことをよく聞く”いい子タイプ”の子は、家でも学校でも、文字通り”いい子”です。でも、育てやすいからといって、親が気を配らなくていいというわけではありません。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

<目次>

「いい子症候群」とは? 育てやすい子、育てにくい子がいる現実

「いい子症候群」に陥らないために親ができること

親の期待に応えてくれる「いい子タイプ」だからこそ気をつけたいこととは?

子育て心理学研究の草分け的存在の1つとして知られるトーマス博士らの気質研究。今から50年も前の研究ながら、今なお、世界中の育児書で引用されています。

その研究で導き出された「3つの気質タイプ」とは、
  • 扱いやすい気質=よく遊び、睡眠や食事習慣が規則的であり、新しい状況に容易に適応するタイプ
  • 気難しい気質=感情の起伏が激しく、睡眠や食事習慣が不規則であり、新しい状況に頑固、かつ否定的に反応するタイプ
  • ゆっくりと適応する気質=活動水準が低く、新しい状況から緩やかに遠ざかる傾向があり、一般よりも多くの時間を必要とするタイプ
でした。

そして、その割合は、
  • 扱いやすい気質を持つ子が全体の約40%
  • 気難しい気質を持つ子が全体の約10%
  • ゆっくりと適応する気質を持つ子が全体の約15%
だっだそうです(どのタイプの条件も満たさない子供たちが35%)。
 

育てやすい子は、何もしなくてもスクスク育つ?

このデータを見て、どこに目が行きましたか? 一般的にこのようなデータを見るとき、親の目線は、「気難しいタイプが1割いる」という部分に向けられがちです。「うちの子は?」とそのデータと照らし合わせるためです。一方、4割もいる「育てやすいタイプの子」はフォーカスされません。

実際、世間で目にする育児情報を見てもそれは明らかです。育児書、ネット上の子育て情報、いずれも”問題解決系”のものが多いですよね。たとえば、「言うことを聞かないときの対処法」や「効果的な叱り方」など。問題を解決するための方法ばかりが取り上げられていて、育てやすいとされる子にフォーカスを置いた内容はあまりありません。育てやすい子は、何もしなくてもスクスク育つという印象があるので、取り立ててノウハウを語らなくても大丈夫とされてしまうのです。

しかし、育てやすい子なら何も気にしなくてOKかというと、そんなことはありません。叱り方の権威であるマッケンジー博士も「子供の気質と親の接し方の相性が合っていないと問題が起こりやすい」と言っています。どんなタイプの子でも、その子の気質に合った導き方、叱り方をしないと、いずれ問題が出てきてしまうのです。
 

いい子気質の子が抱えがちな悩みとは?

「いい子でいたい」「ほめられるのが大好き」という思いが、もともと強い子供たちがいます。このような子は、親の期待に応えることをよしとしているので、「1回ですぐに言うことを聞く」、さらには「言わなくても動く」、親は「楽だなぁ」と感じることがしばしばあります。そのため、親が目くじらを立てて怒るようなことはまず起こりません。

普段、言うことを聞いてくれずに悩んでいるママからすれば、「なんてうらやましい!」と思うかもしれません。しかし、もともとの「しっかりやらねば」という性質で、本人たちは、気持ち的に窮屈な思いをしていることがよくあります。
 

いい子タイプは自分に厳しいゆえ不安を抱えがち

いい子タイプの子は、自分で自分にしっかりとルールを課すことができる子です。もしそこに、親が、「~~してはダメ」「~~しないとダメ」とさらに厳しいルールを持ち込み、課せてしまうとどうなるでしょうか? 親の期待に応えたいと思っている”いい子タイプ”は、それもしっかりと取り入れてしまうことになります。すると、もっともっと窮屈になっていってしまうのです。

子供の不安に詳しい石川信一先生らの調査によれば、教師から見て、ルールを過度に守る行動パターンを示すと判断された子は、他の行動パターンを示す子に比べ、不安レベルが高かった、とのこと(*)。

心理学的に見て、ルールに厳しい人というのは、大人でも子供でも、「白黒はっきりつけたい」「完璧じゃないと許せない」という傾向があります。それゆえ、許容範囲は極端に狭くなり、逆にダメだと感じる範囲が広がっていきます。許せることが少なく、許せないことが多い世界……、これでは不安を抱えることが増えてしまうのも当然です。
 

将来「いい子症候群」にならないために親ができること

子供にルールを教えるのは親の仕事です。私もよくそう言っています。それに変わりはありません。しかし、その伝え方は、マッケンジー博士が言っていた「子供の気質と親の接し方の相性」を踏まえるべきであり、なかには、緩めることが必要な子たちもいるのです。

いい子タイプの子に教えてあげたいのは、「たまには羽目を外すのも楽しいのよ♪」ということ。たとえば、

「週末だから、夜更かしして一緒に映画を見ちゃおう!」
「靴なんて洗えば大丈夫。水たまりでバシャバシャやっちゃおう!」
「今日はお天気がいいからお勉強はなし! 外に行って遊んじゃおう!」

こういう「たまの羽目外し」って、のちのち残る「いい思い出」なったりもします。もし、「ちょっとうちの子、まじめ過ぎ?」と感じていたら、脱線する楽しさを教えてあげてください。そう、「先生に注意された……」と落ち込んでいたりしたら、「たまにはそれくらいでいい!」と励ましてあげるくらいが、いい子気質の子にはちょうどいいのです。


*出典:石川信一・坂野雄二(2005)「カウンセリング研究:児童における不安症状と行動的特徴の関連:教師の視点からみた児童の社会的スキルについて」 

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