投資において短期的損失は常に起こりうるが「急いては事をし損じる」の例えもある
3つの「投資の余裕」を作ろう
しかしこのとき慌てて売ってしまうと、その後株価等の回復により損失だけが残ることがあります。いわゆる実現損です。含み損は「まだ売っていないけど、売ったら損になる状態」なのですが、本当に売ってしまえば損失が確定してしまうわけです。
長い目で見れば、投資は定期預金より高い利回りが期待できるのですが、損失確定してしまえばそれで終わりです。もしその損失を取り戻したければ、投資に再チャレンジしなければなりません。
不要な売却を避け、短期的な元本割れをガマンできるようになるにはどうすればいいのでしょうか。お金の問題を逆転の発想法でクリアする「3分間マネーハック」で考えてみましょう。
短期的損失を受け入れられない場合、「投資の方法」が間違っているのかも
そもそもの発想の逆転としていえば、投資の方法そのものが間違っていることで、短期的な損失を受け入れられなかったり、焦ってしまう人が多いのです。というのも、「買うときの判断」、つまり割安かどうかとか、今が売買チャンスか、という判断を磨けば短期的な損失を回避できるほど投資は単純ではないからです。
残念ながらどんなに知識と経験を積んでも、短期的な損失をゼロにすることはできません。むしろ「投資をする前段階」でできることを考えて実行すれば、短期的損失を乗り越えられるようになるのです。
3つの「投資の余裕」を作ってみよう
具体的に、投資の余裕を作れる方法を考えてみましょう。1.投資額が多すぎる……そもそも投資金額が多すぎることが短期的損失を受け入れることのできない最大の理由になっていることがほとんどです。
10万円なら15%下がっても1.5万円の損ですが、100万円で投資をして同様に下がれば15万円の損です。「金額ベース」でガマンし耐えられる投資額をしっかり考えてみましょう。
例えば今年の年初から約1カ月で約15%下がりました。これくらいの短期的下げを耐えられないようでは投資は続けられません。自分が耐えられる投資金額を逆算してみましょう。
投資金額を減らすということは預貯金等の安全資産を多く残すということでもあり、これも短期的に焦らずにすむ要因となります。
ところで、レバレッジを掛けている場合も、実際の投資資金の25倍(一般的なFXの例)で投資をしているようなもので、「投資額が多すぎる」に該当します。一般個人はレバレッジをかける投資はすべきではありません。
2.時間の余裕がない……時間の余裕がない、というのは「そもそも投資に向かう時間的余裕がない」というパターンと「その資金を使う時点が間近に迫っている」という2つがあると思います。
そもそも投資に向かい合う時間的余裕がない場合、値下がりした理由を考えたり情報収集することができないため余裕が失われます。仕事やプライベート(育児や家族との時間)を削らなければ続けられない投資ならそもそもやり方を変えるべきです。例えば個別株ではなく日経平均株価やTOPIXに連動する投資信託を買えば投資金額は少額で行えるうえ投資の判断はシンプルにできます。
また投資資金を解約する時期が近すぎることも投資の余裕をなくします。来年の1月には解約して子どもの高校入学の資金にするといった具体的タイムリミットがあると、今のような株価下落が回復するまで待つような「時間的余裕」がありません。基本的にタイムリミットが近い投資はすべきではないのです。
3.経験的余裕がない……最後の余裕は経験です。どんなことでも経験はあなたの力になります。初めてのデートより10回目のデートのほうが緊張することなく当日を迎えられますし、デートをエンジョイする余裕もあるはずです。
投資においても経験の浅さが余裕をなくしてしまうことが多いのです。「これくらいの下落ならまた戻るから気にしなくてもいい」というように、経験がある人ほど余裕を持てます。
経験は実践で得るしかないので、最初は金額を少なく、シンプルな投資を行いながら経験値を貯めていくといいでしょう。
短期の損失を受け入れられると投資ステージがあがる
今回3つの方法で投資の余裕を作り、短期的な損失に短気にならない方法を考えてみました。投資においてバカらしいことのひとつが、「下がったから慌てて売ったら、その後値が戻った」というものがあります。つまり何もしなければよかった、ということです。短期的な損失と上手につきあえるようになるとこうしたムダな投資を減らすことができます。そして、その回避策は、株価のチェックや経済ニュースの乱読ではなく、自分自身のあり方ひとつで実現できるのです。もちろん、売買センスも関係がありません。
一歩レベルアップした投資ができるようになるためにも、「短気の損失に短気にならない」投資方法を実行してみてください。