11年ぶりのモデルチェンジだが、コンセプトの進化は見られず
デトロイトショーでレクサスのフラッグシップである『LS』がデビューした。レクサスの歴史は初代LS(日本名セルシオ)から始まったと言って良いほど重要なモデルながら、2006年以来11年間モデルチェンジしなかったこともあり、このところ売れ行きは超低迷している。
本来ならベンツSクラスやBMWの7シリーズ、ジャガーXJあたりと勝負しなければならない車種なのだけれど、現行モデルはあまりに地味。そもそもエンジンバリエーションだって大排気量のV8のみ。ジャガーXJやベンツSクラスは4気筒2000cc搭載モデルから揃うなど幅広い。
内容を考えれば圧倒的に割高だし、クルマとしての魅力やセールスポイントでライバルに届かなかった。レクサスの得意分野として位置づけたハイブリッドも徹底的に売れず。メインターゲットとしていたアメリカ市場すら月間平均で一桁の前半を推移していた状況(数台)。大失敗作と言って良かろう。
そんなバックボーンで開発された新型LSは大いに期待されたのだけれど、デトロイトショーでアンベールされた姿を見てウナりました。デザインに新しさ無し。コンセプトも進化しておらず。これで今後何年か強烈なライバルと戦っていけるのだろうか? 台頭する韓国勢にさえ勝てない可能性大。
例によって日本のメディアは上手にヨイショしているけれど、現在公表されているスペックを見る限り、これといった技術的なアドバンテージが見つからない。魅力的なパワーユニット無し(ハイブリッドはあるが人気イマイチ)。革新的な安全技術も無し。何か隠し球を持っているのだろうか?
現時点では、燃費や走行性能、安全性でも話題になりそうな要素ナシ!
以下、新型LSを紹介してみたい。まずエンジンだけれど、4600ccのV8から3500ccのV6ターボになった。いわゆる「ダウンサイジング過給」と呼ばれる技術で、今や全ての自動車メーカーが標準としているタイプ。前述の通りライバル勢は2000ccの4気筒を搭載し燃費を稼ぐなど先を行く。
燃費も動力性能も、V8から少し進化する程度だと思う。変速機は8速から10速になったが、今や普通。誰も驚かない。走行性能や静粛性はプレスリリースを見ると積極的に紹介されていないため、これまた普通の高級車と同等レベルだと推察される。話題にはならないだろう。
安全性はベンツのCクラスに採用されている内容と同等。歩行者を感知してハンドルを切るという機能は、すでにホンダなどが採用済み。そもそも歩行者に対し何kmまで衝突を回避出来るかというスペックを公表していない。プレスリリースを見る限り最新のベンツEクラスには届いていないようだ。
ちなみに新型LSで話題になっている「バックミラーが無い」というモデルは発表されなかった。後から追加されるか、秋の東京モーターショーでデビューする日本仕様のLSに搭載される技術なのかもしれない。LSのプレスリリースを読んで「驚いた!」が一つも無いということに驚く。
デザインだけれど、高級車カテゴリーの方向性は二つある。フォーマルかカジュアルか、だ。現行LSは日本の首相公用車としても使われるようにフォーマル。歴代LSは全てフォーマルだった。けれど新型を見ると明らかにカジュアル。社長さんのクルマとしては少しばかり車高も足りない(現行より低い)。
フォーマルで使うなら、背が高い方がエラそうに見えます。ということからすると、もしかして次期型センチュリーを社長さん用(首相公用車を含む)に位置づけてくるのかもしれません。ということで現在LSを使っている会社は、センチュリーの情報を待った方がいいと思う。
もちろんデトロイトショーで発表されなかった技術があるかもしれない。もし新しい情報出てくれば紹介します。
■最近の記事
トヨタ・C-HRは実際に乗っても「走りがいい!」
新型CX-5の“キープコンセプト”戦略は成功するか?
新型マークXは国産車の中でもかなり魅力的な一台!