アドバイス1 現金でライフイベントに備える
最初のご質問の金・プラチナの積立についてですが、現状を考えますと、ご本人が言われるとおり、貯蓄に切り替える方が賢明でしょう。金やプラチナはその性格上、リスク分散という意味合いから、いろいろと資産配分する際のひとつの選択肢と考えるべき。利息も配当金もなく、元本割れリスクの他、実は為替リスクも潜んでいます。メインの投資商品として買っていくというものではありません。また、現在の貯蓄額を考えれば、できるだけ貯蓄ペースを高め、今後のライフイベントに備えるべきだと思います。ただし、積立で購入していること、比較的少額であることを考えれば、ご自身が続けたいというのであれば、プラチナは止めて、より安定した資産であり、信用もある金だけを2000円ずつ買われてもいいと思います。
アドバイス2 継続して医療保障は確保すべき
次に医療保険についてですが、確かに、健康保険に加入していれば高額療養費制度を利用できますので、かかる医療費は一定額(所得が「一般」の場合で月額8万~9万円程度)で済みます。まとまった貯蓄があれば、家計負担になってまで医療保険に入る必要性はないとも言えるわけです。しかし、ご相談者の場合、一人暮らしであること、貯蓄が72万円ということを考えると、もしも大きな病気やケガをしてしまうと、医療保障がないのは心許ないという気がします。長期で仕事を休んでも、1年半は健康保険から傷病手当金を受給できますが、手にできるのは平均的な日給の3分の2ですから、かなりの収入減となります。貯蓄が目減りしていくことは、現時点では避けたいところです。
保険のメリットは即効性です。加入していれば、必要な保障が得られます。保険料負担は少ないに越したことはありませんが、今はまだ加入しておくべきだと考えます。現在加入の医療保険については、多少割高という気もしますが、保障内容も必要最小限ですし、そのまま継続してもいいと思います。また、同様の保障でも終身払いにすれば、保険料はより下がります。一生涯保険料を払い続けるのは抵抗があるという人もいますが、今後、より自分に適した医療保険に切り替えていくことを考えるなら、保険料は終身払いの方が合理的(有期払いは先払いのため)です。
アドバイス3 地道にコツコツ積み立てることが貯蓄の王道
加えて気になることをいくつか。まず「老後の備えが気になるので個人年金保険の加入も……」とありますが、33歳ではまだ早いと思います。また、今は予定利率も低いので、貯蓄性という点でも慌てて個人年金保険に入るメリットはあまりありません。それよりも貯蓄を増やすことを優先すべきです。「貯蓄ができず歯がゆい」とのことですが、貯蓄は急には増えません。しかし、継続は力なり。地道にコツコツ貯めていくことがもっとも重要です。
家計を見る限り、しっかり先取り貯蓄ができる人です。ボーナスの支給がないにもかかわらず、無駄を抑え、しっかり家計管理ができています。したがって、今後は収入アップを目指してはどうでしょうか。簡単ではないかもしれませんが、あきらめては可能性もなくなってしまいます。ご結婚もないと言われていますが、将来は誰にもわかりません。ぜひ、前向きに頑張ってください。
順子淳子さんから寄せられた感想
金とプラチナは思い切って売却しようと思います。保険の支払いは、終身払いのほうが合理的というのは目からウロコでした。プランの変更を考えたいと思います。色々と自分の生活に自信がないと感じておりましたが、深野先生より、きちんと家計管理ができているとのコメントを頂き、安堵致しました。最近では1週間を一万円で生活している中で、余る事が多くあり、それをもしもの時用に貯めることができるようになってきました。少しずつではありますが確実に蓄えを増やしていこうと思います。ありがとうございました。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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