まるや肉店で菊坂コロッケをいただく
街歩きの中でコロッケを食べることが多いが、いちばんおいしいのは、この菊坂にある「まるや肉店」のコロッケではないかと僕は思っている。味がいいのはもちろんだが、その雰囲気やお店の人の対応などトータルでここがいちばん素敵だ。菊坂をくだっていくと、おお、菊坂コロッケの旗が見えた。うれしい、やってるね。
さっそく、店先へ行ってみよう。と、コロッケを入れたレたケースの前に行くと、こんなかんじ。うまそー。
迷っていると、サラリーマンの男性グループがテンションあげあげでやってきて、1個ずつ買って、バタバタと去っていった。そうか、ちょうど昼休み時だ。
実はお目当てはもうひとつ。菊坂界隈文人マップというもの。200円で売っている。マップと詳しい住所、行き方などが書かれたものだ。
このマップと菊坂コロッケを買い、310円を支払う。ここで食べていいですかと、店先の床几を指さすと、「ええ、どうぞどうぞ」と言われる。
お茶も出してくれて、恐縮する。ソースもよかったらどうぞと言われるが、遠慮した。菊坂コロッケは味がついていて、熱々の場合はそのまま食べるほうがいい。肉汁があふれてくるその旨さは、ソースをかけてはもったいない気がするのだ。逆に冷めているコロッケだとソースが合うと思う。晩のおかず用に買って帰った場合は、少しラードの香りが強くなるので、ソースをかけるとちょうどよくなる。いずれにしろ肉の比率が高くとても美味しいコロッケだ。
そういえば、年末に来たら、店が閉まっていたと言うと、「すみませんね」と申し訳なさそう。「いえいえ、定休日だから仕方ないでしょ、何曜日でしたっけ?」と聞けば、お休みは日曜日と月曜日なのだそうだ。が、申し訳なさそうにしていらっしゃったのには、理由があった。こちらのお店、メディアでよく取り上げられる有名店なのだが、以前は金曜日が定休日だった。それが本や雑誌、ネットの情報に至るまで、そのままになっているのだそうだ。そのため、それを見た人たちが月曜日や日曜日にきて閉まっていてがっかりさせてしまって、それが申し訳ないとおっしゃる。
「おととしの9月ですかね、細く長くやろうって話合って、週に2日ほど休むことにしたんです」とのことだ。もうずいぶん前から定休日が変わっていたんだ。
そういえば、年末にきて閉まっていた日は月曜日だったような気もする。そんな話をしながら、コロッケを食べ、購入した文人マップを見ながら、きょうの散歩のコースをあれこれ考えた。
■まるや肉店
東京都文京区本郷4-36-4
10:00~18:00
夕方近くに売り切れていることも多い。
定休日:月曜日、日曜日、祝日
次ページでは、樋口一葉ゆかりの場所を見て歩きます。