温泉効果を最大に高める「積極的ぼんやり」とは?
温泉では「積極的ぼんやり」が必要
温泉に浸かることだけを目的とするのではなく、温泉地に滞在する時間そのものを大切にしましょう。これは温泉で疲労とるために、医学的にも非常に重要な行為だと言えます。
温泉でしてはいけないNG行為……忙しく過ごす気持ちはオフに
普段の生活の中でも、私たちは絶えず強い刺激を受け、脳を使っています。スキマ時間や通勤時間など、自分ではリラックスして過ごしているつもりでも、ついスマホでニュースをチェックしたり、SNSを見たり、ゲームをしたり……と忙しく時間を埋めてしまう人は多いのではないでしょうか?デジタルコンテンツが今のように普及する前は、外から脳に情報をインプットすることなくぼんやりする細切れな時間があったはずです。そうした時間は決して無駄ではなく、頭の中で情報を整理したり、また新しいことを考えたり、疲れた時には脳を休めたり、という貴重な時間でした。
時間を埋める癖がついていると、ゆっくりしようと温泉に行っても、せっかく来たのだからと何度も温泉に入ったり、近くの有名な温泉をはしごしようとしたり、お風呂上がりにはさっそくスマホでSNSに投稿したりと、忙しく過ごしてしまいがちです。
まずはこれらの癖に気づき、「ぼんやりする」時間を意識して取り戻すことが大事です。
「積極的ぼんやり」はなぜ大切か? 医師としてすすめる理由
人間の脳の重さは1.4kgと体重のわずか2%程度ですが、全身酸素消費量の約20%に相当する酸素を消費しています。それだけ脳は活発に活動している、ということです。温泉に来たら体だけでなく、脳も積極的に休めてあげましょう。そのためには積極的にぼんやりして余計な外部刺激を脳に与えないということが大切です。このことがリラックスにもつながり、結果として精神的な疲れも癒してくれます。
温泉の効果的な入り方・滞在中の時間の使い方
その方法は極めてシンプルです。まずはとても初歩的なことですが、不必要な携帯やスマホはいじらないこと。必要がなければ電源を切っておいても良いでしょう。あとは、美しい温泉地の景色を眺めたり、温泉旅館のしつらえを楽しんだり、目を閉じて鳥のさえずりに耳を傾けたり。とにかく何もせず、ぼんやりする時間を10分でも20分でも意識して持つことです。
温泉医学における温泉の効能は、湯につかることだけではなく、転地効果として、温泉地その環境すべてを楽しむことも含んでいます。
今週末はぜひ温泉で“積極的ぼんやり”を行い、心も体もじっくりと休めてみてはいかがでしょうか。