アダムはイブからつくられた
オスは扱いやすいように設計されている!?
福岡伸一博士の『できそこないの男たち』という本が大好きです。
「地球が誕生したのが46億年前。そこから最初の生命が発生するまでにおよそ10億年が経過した。そして生命が現れてからさらに10億年、この間、生物の性は単一で、すべてがメスだった」
「生物の基本仕様としての女性を無理矢理作りかえたものが男であり、そこにはカスタマイズにつきものの不整合や不具合がある。つまり生物学的には、男は女のできそこないだといってよい」
その本によると、生物学的に考えれば、アダムからイブができたのではなく、イブからアダムができたらしい。
つまりメスが先にありき。もっといえばメスこそが種の源であり、オスはメスを補助する役割として創造されたらしい。
何のためか?
「ママの遺伝子を別の娘に届ける」という運び屋として。
しかし、ただ運び屋として利用するだけではもったいないということで、メスはオスにいくつかの付加価値を求めました。
外敵から守ることだったり、食料を取ってくることだったり、前人未踏の危険な土地を冒険させてもっと住みやすいところがないかを探させたり……。邪魔にならない程度に子育ても「手伝う」ようになりました。
要するに、オスはメスのパシリとして創造されたわけですね。
種としてみれば、メスがいかに上手にオスを使いこなすかが、その繁栄に大きく関わるということ。
メスが家で君臨し、オスがその指示に従い、ときに食料を持ち帰り、ときに外敵と戦い、ときに子育てするというのは有性生殖が始まって以来の伝統的スタイルであるということです。
そのために、そもそもオスは、メスにとって「扱いやすい」ように設計されているようなのです。
オスは、メスが扱いやすいようにできている
さらに、京大の総長・山極寿一博士の『家族進化論』によれば、ゴリラのように屈強なオスのボスザルがハーレムを作り君臨しているのも、結局はそのほうがメスにとって都合がいいかららしいのです。逆に、ニホンザルのように、ボスザルはいても、複数のメスが複数のオスと乱交するような群れを形成している種では、オス同士の緊張が増さないように、普段メスはとりあえずボスザルと交尾をするけれど、妊娠の確率が高い時期にはボスザルの目を盗んで好みの雄と交尾するそうです。
すべては女性の手中にある。つまりもともとオスは、メスの手のひらの上で転がされるようにできている。人間も同じです。
最近の人間社会では、オスがやたらと威張っているように見えますが、実はきっと、外敵から守ることだったり、食料を取ってくることだったり、前人未踏の危険な土地を冒険させてもっと住みやすいところがないかを探すことだったりを、メスから命じられてがんばっているだけなんですね。
ちなみに日本でも江戸時代までは、男性が子育てに大きく関わっていました。西洋人が見てびっくりするほどに、日本男児はイクメンだったらしいです。日本の男性が育児をしなくなったのは、西洋をまねて軍事国家になっていった明治中期以降なんです。
外敵から守ることだったり、食料を取ってくることだったり、前人未踏の危険な土地を冒険させてもっと住みやすいところがないかを探すことだったりに夢中になっていた時期なんです。
「ご主人様」であるメスが「もういいよ」と言えば、すんなり家に戻ってきて、「ご主人様」から好かれようと思ってしっぽを振りながら、次の指示を待つ。オスって本当はそういうけなげな生き物なんです。
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