株安の連鎖が始まった
2018年2月2日より、世界株安の連鎖が始まりました。今回の株安は、史上最大の下げ幅を記録しました。バブル崩壊かと危ぶむ声まで聞こえてきます。こうなってくると、今までしてきた投資を中断しようかと考える人が増えてきます。私のお客様は、投資信託による国際分散投資をしていますが、こう伝えています。「これまで続けてきた毎月定時定額購入を続けてください。大底を打つまで投資を止めてはいけません」と。
普通の人は、こうした株価暴落局面で、こう考えます。買っても買っても値下がりするのでは、損がふくらむだけだと。
株安でもつみたて投資は有効です
しかし、それは違うのです。毎月定時定額購入では、株価や基準価額が下がるほどに、口数を多く買っていきます。つまり、下がるほどに口数は増えていくのです。そして、投資の時価とは「基準価額 X 口数」。基準価額が下がることはマイナス要因ですが、口数が増えることはプラス要因です。だから、つみたて投資を続けていると、株価が大底を打って反転したときには、保有資産が急速に回復してくるのです(私はこの魔法のような体験を、ITバブル崩壊、リーマンショック、チャイナショックと三度も味わいました)。
投資のリターンを上げるには、株価が上がるか、取得価額を下げるかしか方策はありません。株価に影響を与えることはできませんが、取得価額は自分でコントロールできることです。ならば、安い株価を拾って、自分のポートフォリオの取得価額を下げればいいのです。
これは、ドルコスト平均法という手法で、どんな教科書にも書いてある平凡な法則なのですが、人は、いざ自分が暴落の淵に立たされると、合理的な判断を失い、平凡な法則を忘れ、感情的な逃避に走ってしまいます。
暴落の入り口でつみたて投資を止めると、暴落で資産が減ったまま、反騰期でも回復が遅れ、結局は暴落のダメージを長く抱くこととなります。守ろうとする気持ちが、自分を不利な状況に追い込んでいくのです。
半値になっても儲かる!?
下落相場で、毎月定時定額購入を続けると、資産が増えるというお話は、星野泰平さんの「半値になっても儲かるつみたて投資」 に、詳しく解説されています。その一例をご紹介します。10年間毎月1万円のつみたて投資をしたと仮定します。投資商品の価格は、スタート時の10,000円から5年後に2,000円まで下落しました。
それから後半は、5年かけて元の10,000円に戻ります。下の図にあるような、V字型で下がって上がるというシンプルな設定です。さて、このつみたて投資を10年間、かっちり続けられた場合に、投資した120万円はいくらになっているでしょうか?
半値になっても儲かるつみたて投資
正解は、ほぼ2倍の241万円!これが、定時定額購入の威力なのです。
いい加減な投資は、いますぐ撤退
つみたて投資を控えるべき時期があるとしたら、それはむしろ強気相場です。株価がどんどん上がっていくような強気相場では、高い基準価額を買うことで、取得価額を上げていきます。当然に、将来の収益率に悪い影響を与えます。弱気相場でがんばる、強気相場では控える。これが賢いつみたて投資のスタンスなのです。ただし、この話の前提は、投資家が、合理的な分散投資をしている場合に限ります。たとえば、世界に最適分散された投資信託をイメージしてください。
独りよがりの集中投資だったり、偏った資産配分だったりした場合には、継続よりも一気に撤退をすることが最善です。