年賀状をもう一度見つめ直してみましょう!
前回の記事は小さな切手展の愉しみについて紹介しました。今回は趣きを変えて、国民行事となっている年賀状についてです。2016年の年賀はがきの抽選は1月17日(日)に発表され、1月18日(月)から交換が始まりますので、松も明けて以来、改めて年賀状を見返すという方も多いのではないでしょうか。そこで切手の目利きたちはどんなところに注意しながら年賀状を見ているのかご紹介したいと思います。年賀はがきを詳しく知るためには
今回の記事では主に2016年の年賀状について紹介したいと思いますが、すでにオールアバウトには、官製はがきを使った年賀状のルーツを扱った別の記事があります。また、年賀切手の歴史については、体系的には『ビジュアル日本切手カタログVol.3年賀・グリーティング切手』(日本郵趣協会、2014年)があり、年賀状の文化史・年賀切手の専門研究まで含んだものとして『<JAPEX2015>記念出版 年賀郵便』(日本郵趣協会、2016年刊行予定)があります。戦後の年賀状については郵便学者の内藤陽介氏の著作『年賀状の戦後史』(角川書店、2011年)があり、年賀郵便の制度史については郵政博物館(東京)にすばらしい常設展示がありますので、詳しくはそれぞれに譲りたいと思います。
年賀状は何通もらいましたか?
まずは受け取った年賀状の通数を数えてみましょう。はたして2016年春、年賀状は何通受け取ったでしょうか。2015年用の年賀はがきの発行枚数が33億173万枚であり、2016年用は32億167.2万枚となりました(日本郵便2016年1月8日報道発表による)。日本の人口は1億2600万人ほどですから、もし手元の年賀状が26通以上あれば、国民1人あたりの平均を超えていることになります。もっとも若い世代だと、インターネットなど通信手段が多様化しているので、年賀状を受け取る数は少くなる傾向にあるようです。ちなみに日本人が年賀状を最もたくさん差し出した年は2004年、ちょうど2016年から12年前のサル年だと言われています。お年玉付き年賀はがきの発行枚数は2004年用年賀はがきは44億5936万枚を記録しました。そこから多少の増減はあるものの、緩やかな減少傾向にあります。
年賀はがきの種類のあれこれ
もっとも一口に郵便局の年賀はがきといっても、かなりの種類があります。日本郵便の「郵便年賀.jp」を見ると、2016年用の場合、通常の無地4種に加えて、ディズニーキャラクター年賀2種、ハローキティ年賀1種、いろどり年賀1種、絵入り[寄付金付]全国版1種、絵入り[寄付金付]地方版31種、オリジナル用年賀はがき2種、プレゼント付き年賀1種と、実に43種もの年賀はがきがあります。年賀切手も52円2種、82円2種、18円2種の6種が発行されています。古紙使用の表記について
年賀はがきの種類に関連してもう一点注目したいのが、古紙使用の表記です。2016年用の郵便局の年賀はがきの多くには、「このはがきは一部古紙を使用しているため、黒点等が見える場合があります。」との文言が入っています。これは2008年に発覚した再生紙の偽装問題を受け、郵便局の年賀状から再生紙という表示を除いたことが影響しています。一時はリサイクルに関する表記がなくなりましたが、2012年から「一部古紙」という表記に改められて復活しています。年賀状は社会を映す鏡といわれることがありますが、その1つの好例といえるでしょう。次のページでは、話題に上がった2016年用の年賀はがきについて見ていきたいと思います。