第2位 アクティブ一人旅
第2位は「一人旅」。これもこれまで時々注目され、雑誌の特集の定番にもなってきているので、突然増えるというわけではない。しかし、じゃらん宿泊旅行調査2015で明らかになったのは、一人旅は10年連続で増え続け、いまや子連れ旅行や友人との旅行を超え、割合としては夫婦旅行(24.5%)に次ぐ、第2位(15.9%)のカテゴリーになったことだ。特に、20~34歳男性の一人旅比率は27%にも上り、実は一人旅には「男性一人旅」が多いことがわかった。
女性より男性の一人旅が多い
一人旅や夫婦旅は1人世帯と2人世帯ばかりが伸びる世帯数の伸びに比例すると考えると、今後も伸び続けることが予想できる。一人旅は今年もさらに増えるだろう。
そのきっかけのひとつとなり、重要な旅の友となるのが、スマホだ。スマホで誰かとつながっている限り、実は一人ではない。SNSでの絶景やご当地グルメが友人に発信され、オンライン上では事実上「仲間旅」になっているのが特徴だ。あるいは、一部の方だけが遊んでいた実際の旅先を使ったオンライン上の陣取りゲーム「Ingress」も今年ポータル申請を復活させるのではと推測する。それによってフォロワー層にも普及しそうで、一人旅デビューに拍車をかけるだろう。また、Ingressで地域活性化を図る地方自治体なども見られ始めている。一人旅といえば、癒しとか温泉など非アクティブを想起しがちだが、いやいや、これからの一人旅はアクティブになる。
その際のキーワードは、Collection&Collective。何かちょっとしたもの(例えば旅先のネコ画像だったり)を収集するための一人旅、つまりコレクション性が目的になったりする。あるいは、一人旅をしつつも、一人旅同士が集うコレクティブな場が楽しみとなる。それは、ゲストハウスだったり、民宿だったり、居酒屋だったり。そんな場づくりも宿づくり、まちづくりをする上で重要な年になることだろう。
一人旅といえば、長野県の老舗旅館「上松屋旅館」も一人旅プランなどを作って頑張っている。群馬の「まるほん旅館」は以前からライダーの利用が多かったが最近ではライダー以外の一人旅客を積極的に受け入れてきている。新潟のぬる湯の湯治宿「宝巌堂」も力を入れていて一人旅を考える女性におすすめすると喜ばれる。
一人旅のマナーでもあり、コツでもあるのが、「平日利用が原則」という点だが、まもなく、曜日関係なく泊まれる「おひとりさま専用旅館」が出てきてもおかしくない。
第1位 ゲストハウス戦争
そして堂々の1位は、今年もやっぱり注目の「ゲストハウス」。いま東京都内では、まるで雨後の竹の子のようにどんどん新しいゲストハウスができている。一方で、カオサンやケイズハウスのような老舗は東京を離れ、全国展開に乗り出している。
ゲストハウスとは、世界中の旅人が気軽に泊まれる、主として男女別ドミトリー(相部屋)式の宿のことだが、いまや東京では外国人の情報交換の場にもなっている。旅館業法上は相部屋を可能とする「簡易宿所」に属するが、なかには、モグリのシェアハウス等がゲストハウスと称していることもあれば、ホテル並みのプライベートルームを備える宿もあり、クオリティは様々。ゲストハウスの意味や業態は幅が広く、あえてホステルやバックパッカーズと称する宿も少なくない。日本人のゲストハウスファンのためのサイト「JAPAN BACKPACKERS LINK」でゲストハウス情報が常時発信されているので、安心・安全なゲストハウスに泊まりたいという場合は参考にするとよいだろう。
ちなみに、同サイトのJBL Guesthouse Award 2015~'16で大賞に輝いたのは、京都の「North+Key Kyoto」。京都市中心部の五条に位置し、Wifi完備・24時間利用可能な図書室兼ワークルームがあるので、仕事で訪れてもいい。二段ではなく平ベッドを使った男女別ドミトリーは一人一泊3,600円。ツインの個室は一室10,000円からとリーズナブル。岩本さんご夫妻が切り盛り、適度な距離感が旅人にうれしい。
大型の宿も生まれている。東京・西新井にできた「Emblem Hostel」はビジネスホテルだった建物をリノベーションし、182名収容のゲストハウスに生まれ変わった。客室は主に4人部屋で、ベッドはシモンズだ。
デザイナーズホテルを手掛けるUDSが運営するのが「GRIDS」。秋葉原のホステルは楽天トラベルの「女性に人気のゲストハウス/ホステル」で3位に入った。
その他にも古民家を使ったゲストハウス、古いビルをリノベーションしたゲストハウス、ラブホを転用したゲストハウス等々、個性あふれるゲストハウスの全国展開が始まっている。さらに、これからは「NINJA HOSTEL」とか、「メイド旅館」とか、テーマ旅館やスペシャルゲストハウスも増えてくるような気がするので注目していきたい。
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