リトアニア最初の切手も面白い!
荒木寛隆さんのコレクションの中で異彩を放つのが、リトアニア最初の切手であり、1918年12月27日に首都ヴィリニュスで発行された、10スカティカイと15スカティカイの切手(第1次ヴィリニュス発行切手)です。この切手は、額面を表す「skatik・」のうち、末尾のキリル文字の活字が不足してしまったため、写植工が故意に「h」(小文字のH)を逆さまにはめて印刷した一種のエラー切手として知られています。もっともこれらの切手が印刷された20面シートのうち、12枚が逆さまの「h」の切手であり、もう1枚が別の字を代用したものであり、正しく植字したものは残りの20枚中7枚に過ぎないため、エラー切手であることがむしろ正常と言えるかもしれません。
再独立後のリトアニアは辞書の裏に印刷したことも
ちなみに、エストニアの観劇券と同じような事例は再独立直後のリトアニアでもありました。1990年12月22日発行の天使図案の切手(一番切手再版)の試し刷りは、なんと「辞書」の裏に印刷されていて、一般に「ブック・プルーフ(Book Proof)」と呼ばれています。特にこの試し刷りの完全シートは貴重であり、リトアニア現代郵趣を代表する貴重なアイテムとして知られています。ここでは荒木寛隆さんの所蔵品から1点を紹介させていただきます。
リトアニアの郵趣界でも報じられた「第3回ヨーロッパ切手展」
第3回ヨーロッパ切手展は切手の博物館の一角で行われた小規模な切手展かもしれませんが、荒木寛隆さん、小泉文明さん、山口充さん、重山優さん、木戸裕介さんをはじめ国際切手展レベルの作品を含む本格的な切手展となりました。また日本でバルト三国に特化した切手展が開催されるのは珍しいということで、リトアニアの切手誌やインターネットサイトなどにも紹介いただくことができました。リトアニアの方にとって日本は「隣国(ロシア)の隣りの国」ということや、「命のビザ」で有名な杉原千畝のこともあり、親近感をもって受け止めてくれているようです。このように、地方切手展や専門特化したミニペックスであっても、発信の仕方次第では大きな可能性もありますし、全国規模の切手展とは違ったキラリと光る魅力が見つかるものと思います。
さて、次回の記事では時節柄ふさわしいテーマということで、年賀状についてお伝えしたいと思います。