好き嫌いをなくす心理的なメリット
「食べることは楽しいこと」だと感じられるようにしてあげたいものですね
・ 人生の楽しみが増える
おいしいと感じられることは幸福感(快感)に繋がります。もちろん、人生にはスポーツや音楽といった楽しみもあります。ただ、食事は毎日必ず複数回とらなければならないものです。手軽なハッピーを日常生活の中に多く持てるようになるのは、大きなメリットではないでしょうか。
・人とのつき合いに積極的になれる
大人になれば、たくさんの人たちと食事をします。友だちづきあいはもちろんのこと、懇親会や忘年会、ランチミーティングなど、仕事上のコミュニケーションのひとつとしても「食」は位置づけられています。冠婚葬祭でも、「食」は重要な要素ですよね。
好き嫌いが多いと、食べられるものが限られてきます。「食べないの?」「あれもこれも食べられないんです」「アレルギー?」「そうじゃないんですけど……」そういう会話を繰り返すのは、結構大変なことではないでしょうか。
「私は○○ができない」という言葉は、自分に対してのネガティブなイメージと結びつきがちです。人と食事をするたびに、自己否定を繰り返さなくていいというのは、気持ちいいことですよね。
・ チャレンジと克服による達成感を得られる
キライだと思っていたものを好きになる。食べられないと思っていたものを美味しいと感じられるようになる。それは、ネガティブからポジティブへと反転するということで、ある意味でパラダイムシフトです。「何でも美味しく食べられる人」というのは、子どもの頃から何でも食べられたわけではなく、チャレンジと克服を繰り返してきた人ではないでしょうか。
これらのことを、子どもの年齢に応じて、子どもにわかる言葉で伝えてみましょう。また、親自身にも子どもの頃は多少の好き嫌いはあったはずです。どうやって克服したのか、嫌いなものを食べられるようになったとき、どんな気持ちになったのか、話してみてもいいですね。
激甘祖父母対策
子どもの偏食に悩むお母さんに話を聞いてみると、よく語られるのが「祖父母による甘やかし」です。祖父母は子育てのメインではありませんので、気楽。たまに会う孫に気に入られたいと、キライ(不快)だと言われると食べなくていいよと言い、子どもが好きな物(快)ばかり与える。そのうちに偏食が悪化、というものです。
大人になっても「あれは食べられない、これも食べられない」ということを、自慢のように語る人に時々出会います。アレルギーではない「食べられない自慢」は、自分のために好物を用意してくれることが「愛情」であり、それによって自分の「存在価値」を確かめていた子ども時代を引きずっているのかもしれない、と感じることがあります。
祖父母宅に子どもを預けるときなどには「今、ピーマンにチャレンジしているので、少しでいいから食べさせてもらえませんか」とお願いしたり、「苦手なシイタケをおいしく食べられるようなレシピを知りませんか?」と相談してみてもいいですね。
いつもの食卓で出された時には食べられなくても、いつもと違う場所で、いつもと違う人たちに囲まれてとる食事で、「はじめの一口」をクリアできることも多いものです。自分以外の人たちが、苦手なものを美味しそうに食べていると「つい、うっかり」食べてしまうことも。
「食わず嫌い」は、人生のあらゆる場面に影響すると感じることがあります。初めての場所、初めて会った人に、「尻込み」で応じるか「好奇心」で対応するかでは、人生の広がりは大きく違ってくるように思います。