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世界遺産先駆者のハノイに学ぶ、真の観光のあり方(3ページ目)

観光地としていま注目されているベトナムのハノイ。この地域にはユネスコ世界遺産「ハロン湾」、そして2014年に新たに登録されたチャンアン景観複合体などがあり、ハノイはそれらへ足を伸ばす起点ともなっている。地球規模で世界遺産がブームとなる近年だが、その先駆者でもあるベトナムでは世界遺産および観光はどのような姿なのか。現地を訪れてみた。

松井 政就

執筆者:松井 政就

社会ニュースガイド

再びハノイへ

ハノイに近づくにつれ、窓の外が田舎の風景から街の風景に変化していく。同時にバイクの量も増えていく。
農作業に向かう家族

農作業に向かう家族

ハノイに近づくにつれバイクが増える

ハノイに近づくにつれバイクが増える

ハノイの道ばたでは地元の女性がすごろくをやっていた。
すごろくに入れてもらった

すごろくに入れてもらった

面白そうなので「入れてくれ」と身振りでいうと、私を物珍しそうに見ながら、いいよとサイコロを渡された。結果は私の完敗。

ハノイに到着して間もない頃は、3人乗りや4人乗りといった物珍しさに目が行きがちだが、旅の終わりに近づくと、彼らが一つの景色としてもその土地に不可欠な存在であることに気づかされる。

ベトナムの面白さは人々の面白さ

ユネスコは観光客へのマナーとして「地元に暮らす人を見下してはならない」と従来から訴えている。これは世界遺産と呼ばれるものの多くがいわゆる発展途上国と言われる国々に多く存在し、一方、訪れるのは先進国からの観光客だからだ。

しかし私がここで申し上げる「人々の面白さ」とは、当然のことながら上から目線の話ではなく、むしろその逆の「羨ましさ」を意味している。現地の人々が生き生きしていることへの羨ましさだ。

たとえばバイクに乗っている人々にカメラを向けると、中国であればたいてい文句を言われるし、日本でもおそらく拒否されるだろうが、ハノイではVサインで笑顔を見せてくれる。赤信号で止まっているバイクにカメラを向けると、嫌がるどころか笑顔を振りまいてくれる。

カメラを向けると笑顔を見せる人々

カメラを向けると笑顔を見せる人々


ありのままの良さが土地の魅力を引き出す

人が観光地に足を運ぶのは、その土地らしさを味わいたいからである。そのためには、その国らしさ、その土地らしさを本来のままにしておくことが重要なのは言うまでもないが、土地だけが保全されても実はその魅力は十分には発揮されない

ハノイを巡って感じるのは、その土地らしさの中でとくに不可欠なのは人々の姿であることがわかる。生き生きとした現地の人々が土地の魅力を最大限に引き出している。それは真の観光とは何かを教える力を持っているようにさえ見えた。

ベトナム北部は、島などで泳ぐ場合は夏がベストだが、11月から4月頃までは乾季で過ごしやすい。3月の卒業シーズンにぜひ訪れてみてはいかがだろうか。

【取材協力:ベトナム航空(http://www.vietnamairlines.com/ja/)】
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