日本で最初の4年生大学看護教育機関
高知県立大学の前身は、昭和19年に設立された高知県立女子医学専門学校です。以後、昭和24年に高知女子大学となり、その3年後に看護学科を増設。日本で最初の4年制大学看護教育機関となりました。平成23年に共学化となり現在の校名に変わりました。キャンパスは高知市内に2か所あり、看護学部ははりまや橋からバスで約20分の池地区にあります。市内中心街から少し離れていますが、自然に囲まれているうえ、高知医療センターに隣接しているため、看護を学ぶ環境として恵まれているといえます。
地域の視点を看護職全員に持ってほしい
看護学部の定員は80人。学部で取得することのできる免許は助産師、看護師、保健師、養護教諭があり、助産師を目指すコースは3年次に選抜があり、7、8名の人数制限を設けています。それ以外の人は統合的な看護教育を行うため、全員が看護師と保健師免許取得を目指すカリキュラムが組まれています。ちなみに養護教諭は、希望者が20人を超えると選択制になります。つまり、助産師を目指す人以外、全員が看護師と保健師免許、両方の取得を目指すわけですが、その理由について、時長美希教授は、
「地域で生活している人たちの健康を支援することを全員が学びます。病院で看護師として働くにしても、地域に帰ってから、あるいは入院する前の生活を理解して看護を行ってほしい。ケアの中にも継続的、予防的なものがありますから、広い視野で患者さんのケアができる看護専門職を育てています。4年間で看護学の基盤を学び、看護専門職として活動する基礎的な実践力を培うことが必要だと思っています」
と話しています。
独自色の強い教育
地域看護実習は3年生で高知市、4年生は高知市以外の県内市町で行うことが通例で、高知市での実習では教員が毎日そこに足を運び、指導する方針になっています。領域は地域のほか、精神、小児、老人、母性、慢性期、急性期などがあります。実習で受け持った患者さんや地域の人たちの家族看護を、事例検討していく家族看護実習や、病院及び保健所などのシステムを、どのような課題を持っているのかを分析していく管理実習などもあり、高知県立大学の独自色を打ち出しています。また、地域という環境の中でどう学んでいくかを重要視し、地区踏査で情報収集と分析を行いながら、地区活動計画を立てていくのにポートフォリオという手法を用いていること。単に分析するだけでなく、情報を判断して統合し、見える化していく力をつけること。そのうえで、地区内で健康教育を行っていることも特長的だといいます。
これまでの卒業生で保健師として就職しているのは、新卒で毎年5人前後。そこに既卒が数名プラスされているのが現状です。全国的に見れば保健師としての就職率は高いといえます。また、とても長い歴史のある学校ということで、高知県内はもちろん、全国に先輩がいるのも心強いといえます。
先生からの熱いメッセージ
「学生の皆さんを、自分らしい看護を見つけられるように育てていきたいです。看護というのは自由で、その人らしさが表れる仕事でもあります。この大学で、『看護について自分はこう考える、 このような看護を目指したい』と言えるようになってもらいたいですし、卒業後も専門職として発展していくために研鑽し続ける力を持ってほしいと思います。そして、未来の看護を創造する原動力になってください。本学では高知県と連携し保健師の人材育成を行っています。また、大学院でさらに専門的な力を磨くことが出来る教育もしていますので、自分の未来を長いスパンで考えてみてください。」(時長美希教授)「本学の教育理念として『将来に向かって拓かれた看護を構築できる人を育てる』があります。そのためには、まず看護とは何かを理解する必要があり、学生には看護の理論と技術を根拠からしっかりと学んでもらいたいと思っています。そのために、私だけでなく本学の教員は皆、「なぜ」「どうして」「あなたは何がしたいの?」と事あるごとに学生に問いかけています」(石川麻衣講師)
「本学では、自分で考え、表現することを大切にしていると思います。このような基礎をしっかり学ぶことで、在学中はしんどいと思うこともあるかもしれません。でも、卒業後には、きっと楽しくなるはずです」(小澤若菜助教)
「学びの種は、大学のなかに限らず、地域の人々とのかかわりのなかにあることを実感していただけると思います。地域での気づきの積み重ねが、将来の皆さんの看護の創造につながると思います。学生の皆さんが地域でみつけた学びの種を受け止めて、サポートできればと思います。」(川本美香助教)
(大学データ)
高知県立大学看護学部:時長美希教授/石川麻衣講師/小澤若菜助教/川本美香助教
定員:80人
保健師コース:助産師を取得する者以外全員