ご本尊に触れてお参り
長谷寺の本堂(国宝)にまつられているご本尊は、巨大な十一面観音菩薩像。高さ約10mもあり、歴史ある木造の仏様としては、我が国最大級だそうです。長谷寺本堂(国宝)
この観音様、春と秋の特別拝観の期間中は、なんと、観音様の足に、直接手を触れてお参りすることができるのです。(別途、特別拝観料が必要)
特別拝観券を持って、本堂の受付に行くと、「結縁の五色線」という五色の紐を編んだ腕輪をいただけます。
結縁の五色線
この白・赤・黄・青・黒の五色は、仏の五つの智恵をあらわし、これを身につけることで、観音様とご縁が結ばれたという印になるのだそうです。
この腕輪をして、ご本尊の前に進み、そっと足に触れさせていただきます。観音様と本当につながった気がして、なんだか心も温かくなります。
それにしても、間近で見上げると、観音様のなんと大きいこと!
ご本尊のお参りが済んだら、もう一ヶ所、ぜひとも訪れたい場所があります。それは、本堂からはちょっと離れた五重塔のすぐ横にある、本長谷寺(もとはせでら)というお堂。
本長谷寺
寺伝によれば、長谷寺は、朱鳥元(686)年、道明上人という方が天武天皇のために「銅板法華説相図(どうばんほっけせつそうず)」というものを安置したのがはじまりとされ、その場所が、現在、本長谷寺のお堂が建つ場所なのです。
この場所は、いわば、長谷寺発祥の地ですね。
『わらしべ長者』のふるさと
長谷寺といえば、『わらしべ長者』の物語についてもお話しておく必要があります。おそらく、皆さん、子供の頃に昔話の本で読んだことがあるのではないでしょうか。物語のあらすじは、貧しい男が運を授けて欲しいと観音様に願掛けをする。すると、観音様からお告げがあり、寺を出て最初に手にしたものを大事に持っていなさいと言われ、寺を出たとたんに転倒し、最初に手でつかんだのが藁(ワラ)だった。
この藁に虻(あぶ)を結びつけたものをミカンと交換し、さらにミカンを反物と交換し、反物を馬と交換し…、そして、最後には、家屋敷と田畑を手に入れ、金持ちになったというもの。
この『わらしべ長者』の物語は、観音信仰を広めるための説話に由来し、話に登場する観音様こそが長谷寺の観音様なのだそうです。(『宇治拾遺物語』に収録)
さて、大和の長谷寺、いかがでしたでしょうか。春夏秋冬、本当にいつ訪れるのもオススメなお寺です。
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■長谷寺ホームページ
http://www.hasedera.or.jp/
■本当のわらしべ長者のお話(長谷寺ホームページ)
http://www.hasedera.or.jp/etc/warashibe.html
ちょっと足を伸ばして室生寺へ
多くの人が、長谷寺とセットで参詣するのが、「女人高野(にょにんこうや)」の呼び名と、日本最小の五重塔で知られる室生寺。近鉄大阪線で、2駅ほど離れた「室生口大野」駅が最寄りですが、春と秋の行楽シーズンには、長谷寺と室生寺を結ぶ臨時バスが運行されます。
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■長谷寺と室生寺を結ぶ臨時バス
奈良交通株式会社
■室生寺
「女人高野」室生寺で出会える、心洗われる雪の情景