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花と物語に彩られた古刹 奈良大和路の長谷寺を歩く(3ページ目)

今回歩くのは、大和(奈良)の長谷寺。飛鳥時代の創建と伝わり、『源氏物語』や『枕草子』にも登場。また、「花の御寺(みてら)」とも呼ばれ、とくに桜や7000株の牡丹(ぼたん)は見応えがあります。そして、昔話、『わらしべ長者』の物語の舞台も、この長谷寺。花と物語に彩られた大和の長谷寺へ、早速、出かけてみましょう!

森川 天喜

執筆者:森川 天喜

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ご本尊に触れてお参り

長谷寺の本堂(国宝)にまつられているご本尊は、巨大な十一面観音菩薩像。高さ約10mもあり、歴史ある木造の仏様としては、我が国最大級だそうです。

長谷寺本堂(国宝)

長谷寺本堂(国宝)


この観音様、春と秋の特別拝観の期間中は、なんと、観音様の足に、直接手を触れてお参りすることができるのです。(別途、特別拝観料が必要)

特別拝観券を持って、本堂の受付に行くと、「結縁の五色線」という五色の紐を編んだ腕輪をいただけます。

結縁の五色線

結縁の五色線


この白・赤・黄・青・黒の五色は、仏の五つの智恵をあらわし、これを身につけることで、観音様とご縁が結ばれたという印になるのだそうです。

この腕輪をして、ご本尊の前に進み、そっと足に触れさせていただきます。観音様と本当につながった気がして、なんだか心も温かくなります。

それにしても、間近で見上げると、観音様のなんと大きいこと!

ご本尊のお参りが済んだら、もう一ヶ所、ぜひとも訪れたい場所があります。それは、本堂からはちょっと離れた五重塔のすぐ横にある、本長谷寺(もとはせでら)というお堂。

本長谷寺

本長谷寺


寺伝によれば、長谷寺は、朱鳥元(686)年、道明上人という方が天武天皇のために「銅板法華説相図(どうばんほっけせつそうず)」というものを安置したのがはじまりとされ、その場所が、現在、本長谷寺のお堂が建つ場所なのです。

この場所は、いわば、長谷寺発祥の地ですね。

『わらしべ長者』のふるさと

長谷寺といえば、『わらしべ長者』の物語についてもお話しておく必要があります。おそらく、皆さん、子供の頃に昔話の本で読んだことがあるのではないでしょうか。

物語のあらすじは、貧しい男が運を授けて欲しいと観音様に願掛けをする。すると、観音様からお告げがあり、寺を出て最初に手にしたものを大事に持っていなさいと言われ、寺を出たとたんに転倒し、最初に手でつかんだのが藁(ワラ)だった。

この藁に虻(あぶ)を結びつけたものをミカンと交換し、さらにミカンを反物と交換し、反物を馬と交換し…、そして、最後には、家屋敷と田畑を手に入れ、金持ちになったというもの。

この『わらしべ長者』の物語は、観音信仰を広めるための説話に由来し、話に登場する観音様こそが長谷寺の観音様なのだそうです。(『宇治拾遺物語』に収録)

さて、大和の長谷寺、いかがでしたでしょうか。春夏秋冬、本当にいつ訪れるのもオススメなお寺です。

<DATA>
■長谷寺ホームページ
http://www.hasedera.or.jp/

■本当のわらしべ長者のお話(長谷寺ホームページ)
http://www.hasedera.or.jp/etc/warashibe.html

ちょっと足を伸ばして室生寺へ

多くの人が、長谷寺とセットで参詣するのが、「女人高野(にょにんこうや)」の呼び名と、日本最小の五重塔で知られる室生寺。

近鉄大阪線で、2駅ほど離れた「室生口大野」駅が最寄りですが、春と秋の行楽シーズンには、長谷寺と室生寺を結ぶ臨時バスが運行されます。

<DATA>
■長谷寺と室生寺を結ぶ臨時バス
奈良交通株式会社

■室生寺
「女人高野」室生寺で出会える、心洗われる雪の情景
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