テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルドのたのしいプロテスト(3ページ目)

平成二十七年十二月九日、アーバンギャルドが放つ問題作『昭和九十年』! 松永天馬、浜崎容子、瀬々信、おおくぼけい…メンバー全員が一体となって、トラウマテクノポップの枠には収まらない「殺せない言葉」と「ひしめき合うサウンド」が響くコンセプト・アルバムが出来ました。メンバーに登場していていただき、その想いを語ってもらいました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ラブレターは暴力的であるかもしれない

ガイド:
2曲目の「ラブレター燃ゆ」からは、未来とノスタルジーが交錯します。僕はラブレターというのが、告白の手段として使われていた世代の人です。全てが電子でコミュニケーションできる時代、この「ラブレター」の意義をどのように受け止められているのでしょうか?

ラブレター燃ゆ (YouTube)
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「ラブレター燃ゆ」PVより



松永:
手紙というものは時に暴力的であったり一方的であったりもすると思うのです。ファンレターに見せかけたカミソリレターであったり、近年はウィルスが仕込まれたチェーンレターなるものだってある。とりわけラブレターは想いの強さが一途である分、テロリズムさながらに暴力的であるかもしれない。言葉は互いの気持ちを理解し合うためのものであると同時に、傷つけ合う可能性だって秘めている。だけど僕らは言葉を交わすしか無い。戦争のように。祈りのように。
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「ラブレター燃ゆ」PVより


浜崎:
サウンドは、これまでのアーバンギャルドらしさと、それのアップデート感を目指して制作しました。電子音の洪水とバンドとしてのアプローチもプラスされて、スリリングなサウンドになったと思います。
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「ラブレター燃ゆ」PVより


ガイド:
PVでは皆さん、俳優として見事に演じていますね! よこたんの走る姿がかわいい(笑)。
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「ラブレター燃ゆ」PVより


松永:
PVは郵便やさんに扮した浜崎や探偵に扮した僕(金田一天馬!)など様々な映画のオマージュなど、ターボ向後監督のシネフィル的偏執が満載となっております。音も画も情報過多!監督も我々と同じく、偏執狂にして編集狂!です

浜崎:
メンバー全員に見せ場のあるドラマ仕立てになっております。でも、一度見ただけでは意味があまりわからないと思います(笑)。「くちびるデモクラシー」と同じバンドと思えない雰囲気です。二つとも合わせてお楽しみください。

ファンキーなフォークソング

ガイド:
 天馬さんがメインヴォーカルをとった「詩人狩り」は、ディスコティークかつファンキーかつモンキーマジックで、アーバンとしては新境地を感じます。ここで、ファンキーディスコ路線を入れてみたのには、何か触発されるものがあったのでしょうか?

松永:
この曲はどちらかというとここ数年やっている松永天馬ソロの路線に近く、アーバン特有の少女も登場しないし、誰かに想いを仮託して描くというよりは僕自身の想いが強く反映されている。だからシンガーソングライティングしているというか、その意味でもフォークソング的、フォーキーな趣がある。だけどトラックはダンスミュージックという。おおくぼけい加入以後、ブラックの要素がところどころ入ってきましたね。

おおくぼ:
天馬君の動きを見ていると、たまにジェームス・ブラウンを想起させるところがあって、ブラックミュージックに根ざしたものをやったら面白いんじゃないかというのは密かに思っていました。この曲はフォーキーな曲でもあると思うのですが、かつての日本のフォークを聞くと凄くファンキーなアレンジをしてあったりするんですよね。昭和九十年ということでそういうものの進化形ができたらという思いはありました。
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「くちびるデモクラシー」のPVより


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