テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルドのたのしいプロテスト(4ページ目)

平成二十七年十二月九日、アーバンギャルドが放つ問題作『昭和九十年』! 松永天馬、浜崎容子、瀬々信、おおくぼけい…メンバー全員が一体となって、トラウマテクノポップの枠には収まらない「殺せない言葉」と「ひしめき合うサウンド」が響くコンセプト・アルバムが出来ました。メンバーに登場していていただき、その想いを語ってもらいました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

隠れメタルバンド

ガイド:
アーバンのメタル王子、瀬々さんが作曲した「箱男に訊け」では、「少年A」が歌詞に出てきます。あの少年Aだと憶測しますが、「箱男」は安部公房の小説のタイトル。この二つに関係があると思うのは考えすぎでしょうか?

松永:
安部公房の「箱男」でも暗示されていましたが、現代の箱とは物語であり、物語を規定するメディアであるかもしれない。そして僕はとりわけその箱をテレビジョンとして捉えました。承認欲求の時代です。自分のことを知ってもらいたい、分かってもらいたいという気持ちから犯罪をおかす人間も少なくない。少年Aだって、時代が違えば生主になっていたかもしれない。逆にそんな承認欲求にまみれた現代に疑問を呈したくて書いた曲ですね。

瀬々:
この曲は80年代メタルをアーバンギャルド的に作曲してみました。この曲の1番の見せ場は何と言っても最近は見なくなってしまったギターとショルダーキーボードのツインリードでのソロの掛け合いですね!曲調も歌詞も正しいメタルが創れたと思える曲です。この曲が出来てからはけいさまが「アーバンギャルドって隠れメタルバンドだよね」って言ってます(笑)!
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「くちびるデモクラシー」のPVより

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「ラブレター燃ゆ」PVより


浜崎:
秋の全国ツアーで初お披露目したにもかかわらず、各地で非常に盛り上がった楽曲です。「BOXジャンプ」にぜひ参加してほしいですね。

クラシカルでありプログレでありテクノでありポエトリー・リーディング

ガイド:
アルバム・コンセプトの核となると思われる「昭和九十年十二月 」は、クラシック要素もある長尺プログレのようなナンバーとなっています。作曲は、前作から参加したおおくぼけいさんによるものですが、おおくぼさんはアーバン加入前はGS系バンド、ザ・キャプテンズにおられただけに意外でした。アーバンは新しい血を吹き込んで、進化していく…ということですね。

おおくぼ:
自分がメンバーとして参加していたバンドだけ追って行くとフォークだったりGSだったりするのですが、バンド活動やサポートプレイヤーの活動と並行して演劇や映画の音楽にも携わっていました。時代やスタイルに根ざした音楽について研究したり追求するのは好きなのですが、元々大学で作曲を学んでいましたし、本来はこういうクラシカルというか映画音楽の様なものを指向している部分もあります。今回はコンセプトアルバムということで、自然とこの部分が現れて来たという感じですね。
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「ラブレター燃ゆ」PVより


松永:
僕らも七枚目のアルバムということで、そろそろ長大な曲にも挑戦して良いんじゃないかということで、おおくぼさんに一任しました。クラシカルでありプログレでありテクノでありポエトリー・リーディングでもある楽曲、是非部屋を暗くして爆音で体感して頂きたいですね。ガスマスクをつけて。
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