株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

今年大きく上がらなかったアップル株は絶好の買い場

2015年のアップル株は好調な業績に比べて株価はあまり上がっていません。しかし、同社のポテンシャルは大きく、現在が絶好の買い場と見ることも出来ると思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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今年大きく上がらなかったアップル株は絶好の買い場

2015年は今ひとつの株価推移となったアップル株ですが、むしろここは買い好機と見ます

2015年は今ひとつの株価推移となったアップル株ですが、むしろここは買い好機と見ます

アップルの株価上昇が止まらない
アップルのサプライヤーリストにある優良企業を狙え!などで度々アップル(米国ナスダック上場 証券コード:AAPL)のことをご紹介してきました。

しかし、2015年のアップル株は好調な業績推移にも関わらず、株価推移はアマゾン(AMZN)、アルファベット(旧グーグル、GOOG、GOOGL)、そしてフェイスブック(FB)などと比べて大幅に見劣りします。確かに業績はこれらライバル各社に比べても遜色ないのですが、単に「中国でiPhoneが良く売れている」というだけでは2014年と同じ現象であり、株価上昇を望む投資家にはもっと「センセーショナルな何か(新しい事)」が必要なのかもしれません。

2015年はこの「センセーショナルな何か」がApple Watchになるはずでした。しかし、これまでのところあまり盛り上がっていません。一部に同製品に対する批判的な論評もあります。いずれにしても売上の大きな部分を占めるまでには至っていません。

それでも、ほぼiPadと同程度の平均単価を持つApple Watchは、7-9月期に推定で330万個売れ、約15億ドルの売上になったものと見られます。この数字は初代iPhone発売から2年目、iPadの1年目を上回る販売台数です。そして現在アメリカの調査会社がSNSなどからのビッグデータを分析した結果によると、今年のクリスマスショッピングシーズンに最も欲しい商品の第一位にApple Watchが断トツで入りました(2位はサムスン社のテレビ、3位はソニーのテレビ)。Apple Watchは2年目となる来年に、注目の的に化ける可能性もあると思います。

長期では電気自動車及び自動運転車に期待

もう少し長いスパンで見れば、2019年にもっと大きなセンセーションになるであろう事が控えています。アップルは秘密裏に「プロジェクト・タイタン」とういコードネームにて、電気自動車及び自動運転車の開発に取り組んでおり、当初目標より前倒しして19年の発売を目指しています。

後で見るように、アップルは世界一お金を持っている企業です。日本国の税収の半分ものお金を持っています。この巨額資金(トヨタやGMなども全くかなわない)は自動車開発に断然有利であり、すでに先行するテスラ社や、蓄電池のA123という会社などから人材を引き抜き、600名の自動車開発要員を一気に1800人にまで増やすとの事です。

どのような電気自動車が完成するのか、想像することもできない極秘プロジェクトの段階ですが、iPhone以来の大革命になる可能性も秘めていると思います。iPhoneとは、これまでパソコンメーカーだったアップルが、異業種である携帯電話メーカー市場に新規参入したことで、世界にパラダイムシフトを生んだ「ライフチェンジング」製品です。産業革命や、その後車やパソコンが初めて出てきた時のような出来事と思います。このような大変革というものは、業界の既存企業では発想もできない事です。そして自動車市場にアップルが新規参入となれば、再びパラダイムシフトの期待感が高まります。

天才スティーブ・ジョブズ亡き後のアップルが異業種に参入して、一体どれほどインパクトある製品を出すことができるのかという疑問は残ります。ただ、一つ言える事は、アップルには絶大なブランド力があるということです。アップル・ブランドの自動車が登場ともなれば、並々ならぬ関心を持たれることは確実です。

世界スマートフォン端末市場の利益額の9割以上を独占

アップルはiPhoneが牽引して、3ヶ月で兆円単位という絶大な利益額を稼いでいます。世界にスマホメーカーは数多くあり、年間15億台ものスマートフォンが出荷されているのですが、実はその全利益の9割以上をアップルが独占しています。iPhoneの世界シェアは15%ほどでしかないにも関わらず、業界利益の殆どを獲得しています。

これはブランド力に拠る事です。アップル自身は工場を持たず、製造委託先である台湾のホンハイ社に、東芝、ソニー、村田製作所、サムスン、クワルコム、スカイワークス、NXP、アバゴテクノロジー、瑞声科技などから半導体や音響部品などを集めさせ、深センで組立させているだけです。他のスマホメーカーも同様の方法で調達、組立をしており、部品メーカーはスマホの単価・グレードに拠って分かれますが、高級モデルなら大体同じようなところです。しかしながら中国大手のスマホ部門の開示などを見ると、全く儲かっておらず、赤字を回避するのがやっとという状況です。一方アップルのiPhoneは最も高い値と利幅を取りながらも、飛ぶように売れる訳です。

つまり、スティーブ・ジョブズはもう居ませんが、アップルのブランド力は健在です。勿論商品もアップルの名に恥じない妥協を許さないものに仕上げられると思いますが、ブランド力が先行して「時計」や「車」でもセンセーションを引き起こす可能性あると思います。Apple Watchにしても、同じようなものは各社より、遙かに安い値で沢山出回っています。しかし、アップルブランドだから売れる、という事になると思います。このような将来の楽しみが残っている中で、今年上がらなかったアップル株は割安で、買い好機にあると考えます。

巨額の自社株買いの蓄積が株価の価値を上げ続ける

巨額自社株買いの蓄積によりアップル株の価値は上がっている

巨額自社株買いの蓄積によりアップル株の価値は上がっている

もう一つ着実にアップルの価値を上げていることがあります。それは同社の資金力を活かした巨額自社株買いの蓄積です。スティーブ・ジョブズの亡くなった翌12年に、同社株式数は65.44億株に到達しました。同氏は配当や自社株買いなど、直接的な利益還元を全く行わず、優れた製品を生み出すことで、間接的に投資家に報いる(=株価上昇)方針でした。しかし現CEOが3~5兆円単位の自社株買いを毎年実施した結果、直近の株式数は9億株ほども減少しました。実に12兆円を超える価値に相当する株式数の減少です。この減った価値は、残りの全株主に均等に配分されるのが自社株買いの効果です。株主一株あたりの利益や配当額は、12年末に比べ+16%も上昇したことになります。このように、今後も旺盛な自社株買いによって、アップル株式の価値は何もしなくても上がって行く可能性大です。
アップルの財務内容は完璧!抜群の収益性!

アップルの財務内容は完璧!抜群の収益性!


最後にアップルの財務グラフを確認しておきますと、その形は完璧であり、損益とバランスシート、そしてキャッシュフローの各規模が良く釣り合う形で成長し、抜群の収益性を見せています。バランスシート内の現金はそれほど多くありませんが、その他固定資産の中で安全な国債など証券の形で保有し、現金と合わせ25兆円ほど有します。

参考:米国株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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