中学受験の勉強もいよいよ佳境に差し掛かってきましたね。この時期の学習のポイントは三つあります。ひとつは何と言っても過去問演習。志望校の過去問をみっちりやりこむことで、合格の可能性を高めることができます。二つ目は弱点補強。直前期のこの時期だからこそ、自分の弱点項目をあぶり出して克服していきましょう。
そして三つ目は時事問題の攻略です。近年は社会のみならず理科においても時事問題の重要性が高まっています。以前は知識の確認として1問ポツンと出題されることが多かったのですが、最近では大問ひとつを丸々時事問題から出題するケースも少なくありません。そこで今回は社会および理科の時事問題の中から、特に出題される可能性の高いものを5つピックアップして、皆様にご紹介していきたいと思います。
「安全保障関連法(安保法制)」の成立。政治・外交分野の出題が増えると予想
2015年、安倍晋三内閣は通常国会において、95日間という大幅な会期延長おこないました。これは戦後の日本において最長記録となります。なぜこんなにも長く会期延長をしたのでしょうか。それは通称「安保法制」と呼ばれる法案を確実に成立させるためでした。「安保法制」に関する議論は2014年から継続的に進められてきました。その中で「集団的自衛権の行使を容認する」という、従来の憲法解釈の変更を閣議決定しました。しかしこれについては多くの憲法学者が「違憲である(憲法に違反すること)」と異議を唱えました。また国会議事堂前で学生らを中心とする大規模な集会やデモがおこなわれるなど、大きな社会問題となりました。
政治において大きなイベントが起こると、その周辺事項の出題が増加します。まず考えられるのが「憲法9条」の内容です。これは出題される可能性が高いと考えられますので、条文を丸々暗記してしまいましょう。いい機会ですので、保護者の皆様も一緒に「憲法9条」を覚えてしまってはいかがですか。
また昨年に引き続き「憲法改正の流れ」についても出題される可能性が高いと思われます。右に「憲法改正の流れ」について示しておきましたので、是非ご参照ください。クリックしていただきますと拡大してご覧いただけます。
IS(イスラミック・ステート、イスラム国)によるテロが多発。世界地理の出題が増加する可能性アリ
日本時間で2015年11月14日未明。フランス・パリ市街地で、イスラム国を名乗る武装グループによる襲撃事件が起こりました。劇場やレストランが襲われ、死者130人、負傷者352人という大きな被害を出しました。フランスでは2015年1月にも、イスラム教開祖ムハマンドの風刺漫画を週刊誌に掲載したシャルリー・エブドという出版社が襲撃され、12人が死亡するという痛ましい事件も起きていました。また、中東シリアをはじめ、世界各国で連日のようにテロが起こり、イスラム過激派組織と欧米諸国との対立が激化しています。各地の有力な過激派組織はこぞってイスラム国に忠誠を誓い、「西アフリカ州」「シナイ州」などと名乗るようになっています。アメリカやフランスは対抗措置として空爆を実施、それによってイスラム国の本拠地のあるシリアら隣国のイラクでは多数の難民が発生し、祖国を追われた人たちがヨーロッパに移動して問題となっています。さらにそうした難民の中にテロリストが潜んでいて、彼らがパリでの同時多発テロを引き起こしたとして、事態の深刻化・複雑化が懸念されています。
これまで中学受験では、一部の学校を除き、世界地理はほとんど出題されることはありませんでした。しかし新聞やテレビのニュースで世界のテロ事件がたくさん扱われると、中学校の先生方も無関心ではいられなくなります。やはり話題となっている国々の名称と場所についてはおさえておきたいところです。2014年に話題となったクリミア半島も近くにありますので、まとめて覚えておくとよいでしょう。
次のページには、理科に関する時事問題についての予想です。