幅4メートル。シャビーに仕上がった白いウッドフェンス
イラストレーター、とやまみーやさんのご自宅の庭に白い木製の塀を作りました。今回はアマチュアには難しい手順はプロに任せる「ハーフビルドDIY」と呼ばれる手法を採用しました。この方法なら好きな材料を自分で用意して、カンタンな作業は自分でDIYすれば、すべてプロに任せるよりコストを下げクオリティを高めることも可能。塀のシャビーなホワイト仕上げは外部用塗料「キシラデコール」のワイスを使っています。完成したウッドフェンス。幅は4メートルで厚さ3センチの国産マツ材の無垢の一枚板を使用。棚の小物類のセッティングは、とやまみーやさんによるもの。フレンドリーな雰囲気の方で、作業中はみんなから「みーやさん」と呼ばれていました。
作ったウッドフェンスなど外部のしつらえは「エクステリア」というジャンル。エクステリアという言葉は、表現が混在していて分かりにくくなっている気もするので、私なりの解釈で整理してみます。
エクステリアは日本の建築用語では「外構(がいこう)」、あるいは「外廻り」とも呼ばれます。一般に建物内部の「インテリア」に対して、外部のしつらえの、フェンス・塀、門扉、テラス、そして庭造りの設計でも使われる用語です。
フェンス工事完了後、みーやさんのお宅では友だちを呼んで庭でバーベキューをする機会が増えたそう。こうした庭に配したラベンダーなどの緑の配置や、屋外で使う椅子の置き方などは「エクステリア・コーディネート」あるいは「エクステリア・デザイン」と呼んでいいでしょう。
商業施設のカフェなどでも、一般に「オープンテラス」と呼ばれる内と外のエリアを曖昧にした空間も増えていますよね。
このように内部空間の「インテリア」に対して、外から見える建物の姿や付随する工作物を含めた外部スペース全般を「エクステリア」と考えて良いと私は考えます。
木の内部に染み込んで保護し、耐久性も高めるエクステリア専用の塗料でペイントして完成した塀。特に外構工事では風などの自然環境に対する耐候性、頑丈な構造を熟慮する必要があります。この写真の手前に見えるラベンダーなどの緑や、塀の装飾、金物なども「エクステリア」を構成する大事な要素。
施工はプロと素人が協力して作る「ハーフビルドDIY」を選択
みーやさんからお聞きした塀のイメージと要望は「庭に目隠しを兼ねた、かわいい木製。仕上げは白色で、プロでもDIYでも構わないので頑丈に作ってほしい」ということでした。そこで外構を中心にハーフビルドDIYの工事も行っている業者さんを探しました。
知人の「見積もり外構工事」というサイトを運営している與五澤(よごさわ)さんから紹介されたのは、静岡県富士市を拠点に活動しているエクステリア工事が得意な職人、望月健人さん。
望月氏はハーフビルドも積極的に行っているそうなので連絡したところ、さっそく、みーやさん宅で打合せをすることになりました。
ミーティング当日、現れた望月氏は想像した以上に若くフットワークが軽い印象の青年。みーやさんの要望を採り入れながら、次々と設計仕様を決定していきます。私は必死に、その材料や寸法の情報をフリーハンドでメモしていきました。
話し合いながら寸法などを決めていきます。寸法関係は、ほぼ、このメモのまま完成しました。変更点は、2.4センチもしくは2.7センチの予定だった板厚が3センチに変更になったくらい。わずか数ミリの差ですが、これは主材が4メートルという長尺のため木の反りや暴れを考慮して望月氏と経験豊かな材木屋さんが検討した結果。
坂の下からの風の流れや高さ関係をイメージした断面の絵。材料は木の支柱が5本、3センチ厚の横板が8枚とシンプルな構成。ですが、それぞれの材が大きく重量もかなりある。DIYでも時間をかけて人をそろえれば可能ですが、この大きなスケールでは水平・垂直を出すことは素人では難しいため、プロの力を借りることにしました。
1/20スケールで図面っぽく描いた初期段階の立面スケッチ。望月氏から5枚の板の間に5ミリ程度のアキを設ける提案がありました。これは「アソビ」とか「ニゲシロ」と呼ばれる隙間で気温や湿度で変化する木の収縮を考えたもの。私がDIYで作ったら単純に厚板を積み上げる「突付け」にしたかも。数々の経験を積んだ望月氏ならではのプロの仕事。
でも望月氏は「ペンキ2回塗りなら、お手伝いさんひとりで大丈夫ですよ」とのこと。
そこで、その場で「30代女子」の代表として、知り合いのPONちゃんにお手伝いをお願いしたところ、興味津々の様子で快諾してもらいました。
PONちゃんは、塗装に関してはまったくの素人。でも、やる気満々です。
私は主に塗料関連の材料や道具、そしてビスや棚受け金物などの調達係となりました。
みんなの予定を調整して、日程は10月下旬の2日間に決定! 工事が始まります。