熱帯魚/水草の育て方・オンライン図鑑

[第5回]高圧ボンベによるCO2強制添加

CO2を供給するのに最も効率の良いと思われる、高圧ボンベを使用しての強制添加。具体的に必要な器具を挙げながら、また小型ボンベと大型ボンベの長短を比較しながら解説。

長谷川 秀樹

執筆者:長谷川 秀樹

熱帯魚ガイド

小型ボンベ or 業務用大型ボンベ

水草の育生には、高圧ボンベを使用したCO2の強制添加がもっとも効率が良い事は、既に説明してきた通りです。今回は、CO2強制添加について、より具体的に解説していきたいと思います。

水草の育生に使用されるCO2高圧ボンベには、一般に目にすることのできる(アクア用品として市販される)小型ボンベと主にビールサーバーなどに利用される業務用大型ボンベが存在します。前者は内容量74gのものが普及サイズなのに対し、後者では1.5kg、2.5kg、5kg等と大容量なのが特徴となります。

小型ボンベでは、CO2の内容量が74gと少ないため、標準的60cm水槽の使用で1ヶ月前後で消費してしまいます。引き換え大型ボンベでは、1.5kgのものでも前者の20倍の容量があります。また、当然質量辺りの単価も安くなり、90cm以上の大型水槽に使用するなど大量に添加する際に有効です。

どちらを選択するか迷う所ですが、初期費用を押さえられるのが小型ボンベによるシステムの構築。初期費用がやや高くつくが、ランニングコストを押さえられるのが大型ボンベとなります。概ね、60cm以下の水槽では添加量も少ないので小型ボンベを、それ以上の容量の水槽には大型ボンベを使用するのが妥当でしょう。

CO2業務用ボンベ(2.6L)業務用大型ボンベの入手方法は、水草に注力しているショップなどでレンタルする事が可能なので、そちらで手に入れるのが良いかと思います。また、酒屋などでもレンタル可能な所もあるそうです。

  小型ボンベ 大型ボンベ
初期費用※注1 安価(500~2000円) 高価(2万円前後)
ランニングコスト 高い 低い(再充填約2千円)
入手 容易 やや不便
水槽サイズの目安 60cm以下 90cm以上

注1、ボンベ単体での価格

 

関連器具の選択

高圧ボンベを使用してCO2の添加を行うには、

    • CO2高圧ボンベ
    • レギュレター
    • 拡散器
    • カウンター
    • 耐圧チューブ
    • その他関連器具

小型CO2ボンベセット概ねこれらが必要となります。ボンベとレギュレター以外は互換性があるため、60cm以下の水槽で始められるのであれば、まずは価格的にも手の出しやすい小型ボンベのセットでスタートされるのが良いかと思います。

商品購入の際、関連器具が複数メーカーから発売されているので、選択に迷われるかも知れません。そこで、拡張性の面から見て、どのような器具を揃えていくのが良いか解説していきましょう。

CO2高圧ボンベ

先に述べた通り、使用する水槽のサイズ、金銭面を考慮の上、どちらかを選択すれば良いでしょう。

レギュレーター

大雑把に分類すると、「小型ボンベ用」と「業務用大型ボンベ用」に使用するタイプの2つに別けられます(一部メーカーの物では、小型ボンベ用のレギュレターに変換アダプターを取り付ける事によって、大型ボンベでも利用できる径に変換できるものもあります)。

現在主力となっているのは、ボンベ内の圧力を水槽へ配管できるように2次減圧されたものですが、以前のレギュレターにはそれがなされておらず、電磁弁など各種アクセサリーの接続が不可能だった製品もあります。購入の際、一度専門店などで確認してみると良いでしょう。2次減圧されて無いものでは、常時接続すら困難となります。

また中には、ボンベ内のCO2の残量を表すメーターが付属していたり、複数水槽への分岐を行いやすいように吐出圧力の調整機能がついている商品もあります。

 

CO2拡散器

外部式CO2ミキサー(ジャレコ)これは、ボンベから導かれたCO2を、水槽内に溶解させる部分となります。様々なタイプのものが発売されており、CO2をミスト状にして拡散させるタイプ(ADAから発売されるパレングラス、KSシステムのCO2ストーンなど)や水槽内外に設置して拡散器内部に水流を導き強制的にCO2を溶解させるタイプ(ジャレコのCO2ミキサー、デュプラのCO2リアクターなど)などがあります。

ミスト状に拡散させるタイプの多くは小型水槽向き。水流により強制的に溶解させるタイプのものは、よりCO2の溶解を必要とする大型水槽向き。これらも水槽容量に合わせて、適切なものを選択すれば良いでしょう。

CO2カウンター

CO2カウンター(デナリー)

CO2添加量の目安を測る為の器具です。カウンター内部に水を入れ、出て来るCO2の気泡を計測するといった単純な作りとなっています。

高圧チューブ

耐圧チューブボンベから吐出されたCO2は、2次減圧を行われているとはいえ、高い圧力を保っています。その為、高圧に耐える事のできる専用のチューブを配管途中で使う必要がでてきます。

その他の関連器具
CO2を水槽内に添加する為には、最低限、上記の器具があれば可能です。しかし、日常の管理を行いやすくする為にタイマー管理を可能にする電磁弁、任意のpH値になるようCO2の添加量を管理するpHコントローラーといったものもあります。その他にも複数水槽への分岐の為のパーツ、添加量の微調整を行うスピードコントローラなど周辺アイテムは多数市販されます。



長谷川秀樹の誰でも解かる!水草指南
第1回 水草水槽のすすめ
第2回 フィルターの重要性
第3回 照明と二酸化炭素
第4回 CO2添加方式のバリエーション
第5回 CO2高圧ボンベを使用しての強制添加
第6回 トータル的に優れた照明―蛍光灯
第7回 水草水槽に適した底床


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