アドバイス1 老後資金4500万円は「足りる」と判断していい
お子様の中学受験についてのご相談ですが、まずは試算をしてみましょう。小学校卒業まで現在と同じ教育費がかかるとすると、残り3年間で162万円。中学校~高校と私立に通うとして、それぞれ卒業まで教育費400万円(学校外費用も含む)とすると計800万円。大学は学費の高い理系に進学すると卒業までの4年間で500万円(私立)とします。トータルで1462万円ですから、とりあえず1500万円は必要としましょう。このうち、大学費用は学資保険の満期金400万円を充てることができますので、貯蓄でカバーすべきは1100万円となります。
その貯蓄ですが、現時点で投資商品と合算すると3696万円。それに今後どれだけ上乗せできるかですが、毎月の貯蓄が6万7000円(うち投資2万 2000円)ですから、ご主人60歳までの7年間で約562万円。ボーナスは支給額の変動幅が大きいようなので、あくまで概算ですが毎年20万円貯蓄に回せるとしてみます。これで7年間に140万円。さらに退職金1200万円(おそらく非課税)ですから、すべてを合算すれば60歳時にほぼ5600万円。先の1100万円を差し引けば、4500万円が手元に残る計算になります。
つまり、お子様を中学から私立に入学させて、ご主人が60歳で定年退職したとしても、ざっくりですが4500万円の老後資金が作れるという計算です。今後、夫の年収が減少することもあるかもしれませんし、一方で妻のパート収入は増えるかもしれません。ここではいずれも考慮していません。あくまで目安ですが、遠からずの数値ではないでしょうか。
加えて言えば、住宅ローンもちょうど60歳で完済。トータル440万円が受け取れる個人年金保険にも加入されている。これらを考慮しつつ現在の生活費を拝見すると、老後資金としてそれほど心配する額ではないように思いますが、いかがでしょうか。これであれば「足りる」という判断をしてもいいと思います。
アドバイス2・3 用意できる資金で老後生活、夫婦で話合うことも大事
とは言え、老後は不確定要素が多いのも確か。どのような生活をするかで支出は大きく異なってきます。したがって、先の4500万円に対して「必ず足りる」と断定できるものではありません。単純に将来は誰にも分かりませんし、人生に想定外は常につきものです。また、ご主人が定年退職した時点で、お子様はまだ15歳。教育費の支出はまだまだ続きます。中学から私立に通わせるということは、当然公立に進学するより教育費はかかります。足りそうであっても、気持ちの部分でどうしても不安になるということも当然あるでしょう。
不安になったときもモノは考えようで、いくらの老後資金が必要かと考えるだけではなく、自分サイズの老後資金を貯められたときに、その資金でどう自分たちが老後を過ごすのか(過ごしたいのか)。そうした視点を持って人生設計することも、日々心配するよりはるかに前向きで建設的ではないでしょうか。
そのためには夫婦が同じ目線を持つことが、何より大事です。せっかくですから、今回のご相談を、ご夫婦で老後について考えるキッカケにされてはどうですか。奥様はご主人が定年後、収入が減るからフルタイムで働くと言われていますが、ご主人は定年後、再就職するかもしれませんし、考え方しだいではそこまでしなくてもいいのかもしれません。まずは、必要以上に不安にならず、いろいろなケースを想定して電卓をたたきながら、ぜひ前向きに老後生活を描いてみてください。
教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
取材・文/清水京武
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