貯蓄/平均貯蓄額などの気になるデータ

3割が貯蓄ゼロ!貯蓄平均は1209万円?2人以上世帯

金融資産に関する統計で注目度が高いのは、金融広報中央委員会が毎年11月に公表する「家計の金融行動に関する世論調査」です。2015年11月5日に発表された2人以上世帯のデータをチェックしてみましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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3割が貯蓄ゼロ!2人以上世帯の調査結果

2人以上世帯の貯蓄は格差が開く

2人以上世帯の貯蓄は格差が開く

2人以上世帯が保有する金融資産の平均額は、1209万円と前年と比較して27万円増えました。中央値は前年と変わらず400万円です。

世帯収入の増加、円安・株高の進行が保有資産額を増やした要因と言われています。反面、貯蓄を保有していない世帯は30.9%と、前年と比較して0.5ポイント増加しています。

このため金融資産を保有している世帯だけでみると、平均額は前年より66万円増え1819万円となりました。中央値は1000万円とやはり変わっていません。金融資産保有世帯だけの伸びが大きく、また貯金0円世帯も増えていることから、持つ者と持たざる者の差が一段と開いたと言えそうです。

なぜなら金融資産保有世帯は、1年前と比較して金融資産の保有残高が増えた世帯が3.6ポイント増えた半面、減ったという世帯は前年比2.9ポイント減少しているからです。

金融資産残高が増えた理由は、定期的な収入が増加したは前年比2.4ポイント増に留まっていますが、株式・債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したからは前年比8.5ポイントも増えているのです。また、配当や金利収入が増えたからも2.3ポイント増えています。金融資産保有残高が増えた要因は、投資でお金を増やした人が増えたこと、いわゆる「資産効果」が大きかったと言えるでしょう。

意外と多い、投資から貯蓄にお金を振り向けた世帯

金融商品別の構成比をみると、預貯金は全体の53.2%で前年と比較して0.9ポイント減少していますが、保有額は970万円と前年と比較して22万円増えています。構成比が減少しているのは、有価証券の増加が多かったことがその要因と考えられます。投資信託は前年比1.3ポイント増加、株式も0.7ポイント増加しています。

しかし、有価証券全体では前年比0.9ポイントの増加に留まっています。有価証券と括られている中の債券が前年比で1.3ポイントも減少しているからです。どの統計データを見ても債券の保有割合は減少の一途を辿っているようです。その要因は超低金利を背景として、利率が高い債券=個人向け国債などが発行されないことが考えられます。日本銀行の再追加緩和も予測されていることから、超低金利はさらに長引くことが予想されます。債券の保有割合が増えることは当面考えにくいと言わざるを得ません。

金融資産構成比の前年比較では、現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型やリスク資産に振り向けたとした世帯割合は前年比で1.1ポイント増えた一方、長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた世帯も1.3ポイント増えています。新規に投資した世帯よりも、投資から貯蓄に振り向けた世帯が多いのは、円安・株高の進行により、利益確定の売りを出した世帯が多かったことが伺えます。

貯蓄から投資へ流れはなかなか大きくならない

円安・株高を背景として投資を行っている人が大きく資産を増やしていますが、今後の投資姿勢は意外と保守的なようです。元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融商品の保有については、そうした商品を保有しようと全く思わないが80.2%もあるのです。前年より1.3ポイント減少したとはいえ、依然として8割を超えているのですから、相変わらず安全性志向が強いようです。

NISA、2016年からはジュニアNISAが始まる予定ですが、貯蓄から投資へは遅々として進まないようです。

金融資産の保有目的は、老後の生活資金が66.5%と最も高く、次いで病気や不時の災害への備えが63.7%となっています。ただし、その割合は前年よりもその割合は減少しています。これらは景気が悪い時期に高まるケースが多いことから、少しは景気がよくなっている(拡張傾向)と言えるのかもしれません。

また、過去1年の家計運営の評価については、思ったより家計運営は苦しかったとした世帯が前年より3.7ポイントと大きく減少した半面、思ったよりゆとりある家計運営ができた世帯は0.3ポイント、思ったような家計運営ができたが1.3ポイントの増加に留まっています。景気はよくなりつつも、その歩みは緩慢、かつ面のようになかなか拡がっていないというのが実感かもしれません。

【1人暮らし世帯のデータはコチラへ】
1人暮らし世帯は貯蓄ゼロが5割に?2015年の調査

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20代、30代、40代など世代別!2015年の平均貯蓄額

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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