宝塚ファン/宝塚歌劇入門編

『華麗なる千拍子』~芸術祭賞(2ページ目)

わずか16名の少女たちから始まった劇団が、100周年を迎えた奇跡……。様々な困難に遭いながらも新しいものを求め、今に繋いだ軌跡……。そこにいつも あったたくさんの輝石……。宝塚歌劇団100年へのキセキのひとコマをご紹介いたします。Part13「『華麗なる千拍子』~芸術祭賞」

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド


寿美とは対照的なノーブルな魅力を持つ明石照子が他組から特別出演をし、その力量や風格が、この作品を成功させた大きな要因となりました。そしてその下で、真帆しぶき、那智わたる、内重のぼると、人気も実力もあるスターが熱演。また娘役では、この作品で退団した浜木綿子(俳優・香川照之さんの母)が、美声を聴かせ活躍しました。

1961年「第12回NHK紅白歌合戦」に、寿美花代は現役タカラジェンヌとして初出場し、高度な表現力が必要な『華麗なる千拍子』のナンバー、「ジャズ・バンド」を熱唱。この年、「華麗なる」という言葉も流行したほど、日本中が『華麗なる千拍子』に湧いたのです。

やがて、企画構成の素晴らしさと、寿美花代のショウマンシップが高く評価され、『華麗なる千拍子』は、宝塚歌劇団にとって初めての芸術祭賞(後の芸術祭大賞)を受賞しました。


日本民族舞踊『火の島』の快挙

『華麗なる千拍子』の翌年の1961年(昭和36年)、これも宝塚歌劇の歴史に残る名作が誕生します。
郷土芸能研究会構成、渡辺武雄演出、川井秀幸脚本の、日本民族舞踊シリーズ第4集『火の島』です。

これは、南九州に伝わる数多くの民俗舞踊を表現した作品で、迫力ある群舞の場面に観客は圧倒されました。
スターもみな同じ衣装。舞台に砂をまいたり、セットや照明で桜島の噴火を表現するなど、リアリティーを出すための工夫が随所になされました。

明石照子真帆しぶき秩父美保子(寿美花代の妹。後に松平美保に改名)、加茂さくららが中心となり、あらたな日本物のショーとなった『火の島』は、多大な評価を受け、『華麗なる千拍子』に続き、二度目の芸術祭賞を受賞。また「テアトロン賞」「レインボー賞」も受賞するという快挙を成し遂げました。


この時代の人気スターは……別格扱いの大スター春日野八千代、そして明石照子寿美花代真帆しぶきに続き、星空ひかる麻鳥千穂如月美和子浜木綿子秩父美保子扇千景大空美鳥近衛真理加茂さくら八汐路まり…と、個性的なスターが多い時代でした。
中でも、那智わたる(マル)、内重のぼる(サチ)、藤里美保(オソノ)の「マル・サチ・オソノ トリオ」が人気を博しました。

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