インフルエンザ

受験前の感染対策に…受験生・家族のためのインフルエンザ予防法

【小児科医が解説】中学受験、高校受験、大学受験などの「受験シーズン」が迫ってきました。毎年冬に流行するインフルエンザは受験生の大敵。受験生とその家族がすべきインフルエンザ予防法・対策法について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

受験シーズンに流行するインフルエンザ……受験生がすべき対策は?

高校生

受験生にとって勉強と同様に重要な体調管理。受験シーズンに流行するインフルエンザにはどう備えるのがよいのでしょうか?

受験当日はもちろん、受験勉強中もかかりたくないインフルエンザ。受験シーズンは毎年インフルエンザの流行期にも重なるので、十分な予防・対策が大切です。昨年度のインフルエンザは2023年9月に流行がスタートしました。2024年は、例年通りか例年より早い時期の流行が予想されていますので、早めの対策を心がけましょう。

インフルエンザ対策は、孫子の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」とあるように、まずは病気の特徴について正しく知った上で、自分の状態もよく知ることで、適切な対策をすることができます。新型コロナウイルス感染症などにも同様のことが当てはまりますが、今回はインフルエンザを中心に解説します。

まず、状況判断のためにはインフルエンザの流行状況を知っておくことが重要です。過去の比較することで、いつ頃流行するかが予測できます。国立感染症研究所の「インフルエンザ」のページなどを見ながら、流行時にはさらに気を付けて感染予防する必要があります。

インフルエンザについて改めておさらいした上で、有効な対策法について見ていきましょう。
 

インフルエンザの症状・潜伏期間・感染力

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症で、高熱・咳・鼻水などの症状が5日以上続きます。インフルエンザウイルスは皮膚からは感染せず、目・鼻・口から侵入して気道の粘膜に感染し、増殖することでインフルエンザを発症します。

発症までの潜伏期間は感染してから1~4日で、平均は2日です。感染力は、インフルエンザの発症前24時間~発症後3日目までが強いです。

ツバや痰、咳などによる飛沫感染、接触感染によって、1人にインフルエンザの人が、周りの免疫のない人に2~3人に感染させてしまいます。

学校保健法に基づく出席停止期間は、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまでで、幼児であっては、かつ解熱した後3日を経過するまでとなっています。

これらを踏まえると、インフルエンザ対策法は大きく3つあると言えるでしょう。
 
  1. インフルエンザウイルスの侵入を防ぐ
  2. インフルエンザウイルスの増殖を抑える
  3. 体内のインフルエンザウイルスを減らす

以下で、これら3つの対策を行うための具体的な方法をおさえていきましょう。
 

インフルエンザ感染予防の基本……体内へのウイルス侵入を防ぐ!

インフルエンザウイルスの侵入経路は目・鼻・口ですから、以下のような方法が有効です
 
  • 人混みは避ける
  • 完璧な予防にはならないものの外出時にはマスクをする
  • マスクは使い捨て、かつきめの細かいウイルス対策用のマスクを使用する
  • 帰宅時には、できれば玄関口でマスクの外側を内側に折りたたんで捨てる
  • 帰宅時と食前には必ず手洗いをする
  • 手洗いは石鹸で15秒以上かけ、指の間も念入りに洗う
  • できれば手のアルコール消毒をする
  • 帰宅時には手洗いした手で、顔用石鹸を使って顔も洗う
  • 完璧な予防法ではないが、帰宅時にはうがいをする
  • 粘膜の乾燥はインフルエンザウイルスに感染しやすくなるので、できればこまめなうがいで喉の乾燥を防ぐ
こうした対策は、手や顔についたインフルエンザウイルスが体内に侵入することの予防に有効です。受験生だけでなく、同居している家族全員が家庭内にインフルエンザウイルスを持ち込まないためにも、上記の対策を行うようにしましょう。
 

インフルエンザウイルスの増殖を抑える予防法……ワクチン・生活リズム

ワクチン

予防接種は受けておきたいものです

インフルエンザウイルスの増殖を抑えるキーポイントは免疫です。
  • インフルエンザ不活化ワクチン接種を受ける。13歳未満は2回、13歳以上では1回接種。長期間持続させるためには3~4週間の間隔をあけて2回接種することが望ましい
  • インフルエンザ生ワクチン接種を受ける。2歳から19歳未満で、1回接種。1年は持続します。ただし、鶏卵アレルギーがある場合は慎重に
  • 免疫を高めるために、規則正しい生活、バランスのとれた食事、適切な運動、十分な睡眠に心がける
  • こまめにうがいをして、粘膜の乾燥を防ぎ、侵入したかもしれないウイルスを減らす
  • 加湿器などで室内の乾燥を防ぎ、粘膜の乾燥を防ぐ
  • 自費になりますが、抗インフルエンザ薬の予防投与という方法もある
これらの方法で、体内に侵入したインフルエンザウイルスの増殖を抑えることができます。

受験生本人だけでなく、同居している家族の免疫を高める意味でも、家族でバランスのとれた食事を取るようにしましょう。家族全員がワクチンを受けておくことが望ましいです。万が一、家族内で体調が悪い人がいれば、受験生と同じ時間に同じ食卓で食べるのを避けた方がよいでしょう。
 

インフルエンザの症状を軽くする方法……体内のウイルスを減らすには?

インフルエンザウイルスが体内に侵入して増殖してしまったら、インフルエンザを発症します。できるだけ、症状を軽くして、早く治す必要があります。
 
  • 発熱後48時間以内に、抗インフルエンザ薬を服用または吸入または点滴する
  • できるだけ、食事を取るようにして、水分をしっかり取る
  • しっかりと睡眠をとる

抗インフルエンザ薬は、内服でも、吸入でも、点滴でも効果に大きな差はありません。可能なら、診断後早期に治療を開始した方がよいでしょう。

家族内でインフルエンザになった人がいる場合は、いかに受験生に感染させないかが重要になってきます。感染が成立するには、距離・時間と病原体の感染力と感染を受けるかもしれない人の免疫力が関わってきます。

インフルエンザになった人は、可能なら1週間程度は部屋があれば隔離され、部屋がなければ2m以上を離れて暮らし、食事時間などは受験生と別々にし、入浴も一番後にしましょう。

受験は、人生を左右しますので、万全の体調で臨みたいものです。

しかし、人生は七転び八起です。小学校受験した日に発熱し(当時はインフルエンザ迅速検査がありませんでした)、なんとか補欠合格したけれど結局入学できず、公立小学校へ。そこから私立中高校を経て、今は国公立の医学部に入学し、医師になった子もいます。

受験については、私自身、公立小学校から私立小学校、中高一貫校(第1志望校は落ちました)を経て、京都大学医学部に入学することができました。中学受験で第1志望校に合格していたら、同じ大学に合格できていたかはわかりません。

受験結果は、その時は辛くても、「人間万事塞翁が馬」。良いときも悪いときもあるのです。
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