神田川沿いに広がる、
歴史ある商店街のある街、江戸川橋

位置関係の概念図

江戸川橋駅と周辺の位置関係概念図。作成方法については文末に表示(クリックで拡大)

神田川沿いを走る新目白通りから南側、早稲田の東、神楽坂の北、飯田橋の西にあるのが東京メトロ有楽町線江戸川橋駅(文京区)です。神田川沿いなのに、なぜ江戸川橋なのか、不思議に思われるかもしれませんが、その昔、神田川中流の一部は江戸川と呼ばれていたそうです。そこにかかる橋を江戸川橋といい、それがこの地を運行していた都電の停留所前として採用され、その後、東京メトロ有楽町線の駅ができるにあたり、その名称を踏襲したというのが経緯です。

 

音羽通り

江戸川橋駅近くから護国寺方面。通り沿いには講談社などの出版社が並び、このエリアを音羽と称することも(クリックで拡大)

駅周辺は神田川沿いの低地となっており、川を挟んで北側の右手には小日向の台地、左手には目白台、関口の台地があり、東京メトロ有楽町線はその間の谷を走っていることになります。谷の突き当りの台地上には護国寺があり、江戸時代にはこの谷部分に今の浅草の仲見世のような参詣客のための店舗が建ち並んでいたとか。マンションが立ち並ぶ音羽通りの現状からは想像もつきません。

 

首都高速

神田川の上を走る首都高5号池袋線。今回はこの写真の方向を取り上げる(クリックで拡大)

江戸川橋を中心に住宅地を考えるとすると、川を挟んだ対岸の台地も入りますが、今回は川の南側エリアを主にご紹介します。また、江戸川橋駅は文京区にありますが、ここは対岸の文京区から新宿区内にはみ出した格好。少し離れると新宿区です。

 

目白通り

目白通り沿いは両側にマンション、オフィスビルが並び、壁のように見える(クリックで拡大)

実際の街の様子を見ていきましょう。駅周辺で周囲を見回すと目に付くのは通り沿いのマンションのオフィスビル。新旧取り混ぜてかなりの数のマンションがあり、車で通っているだけの人には都会的な街と思えるはずです。

 
子育て地蔵

別名火伏地蔵とも言うのだとか。この辺りが大火に見舞われてことがないのはこのお地蔵さんの功徳というわけだ(クリックで拡大)

ですが、一歩裏手に入ると表情は一変します。分かりやすいのは江戸川橋地蔵通り商店街でしょう。商店街の入り口には商店街の名まえの由来となった子育て地蔵が祭られており、これは明治時代初期、神田川の氾濫でどこかから流れ着いたお地蔵さまを地元の人が祭ったもの。今も地元の人たちの手で立派な祠に安置されています。

 

商店街

商店街のすぐ脇には小規模なアパート、一戸建てが建ち並ぶ。表通りとはかなり雰囲気が異なる(クリックで拡大)

商店街は行商をしていた人たちが集まり、徐々に形成されていったようで、当初は地蔵横丁と呼ばれていたのだとか。確かに道幅の細い通りに個人商店が並ぶ有様には今も横丁という風情が漂います。店の種類としては肉屋、八百屋、魚屋さんなどの生鮮食料品からスーパー、ドラッグストアなどなど。毎日の生活に必要な品が揃います。

 

マルシェの告知

商店街に貼られていたマルシェの告知。11時から17時まで開かれるそうだ(クリックで拡大)

また、毎月第四日曜日には青空市が開かれるそうで、街を盛り上げる意識があることが分かります。

 

一帯は赤城神社の氏子、
祭礼には熱くなる人たちも

赤城神社祭礼

2015年は節目の年だったそうで、5つの町会の神輿が一度に練り歩き、かなりの人出になった(クリックで拡大)

また、地元の人以外はあまり知らないかもしれませんが、このエリア一帯は東京メトロ東西線神楽坂駅近くにある赤城神社の氏子となっており、駅周辺の文京区関口を除き、実は祭りに熱くなる土地柄。下町っぽい雰囲気のある場所なのです。ちなみに赤城神社の氏子となっている町としては赤城元町、赤城下町、神楽坂六丁目、横寺町、箪笥町、細工町、北町、中町、南町、払方町、二十騎町、南山伏町、北山伏町、市ヶ谷山伏町、南榎町、弁天町、東榎町、榎町、早稲田町、早稲田鶴巻町、山吹町、東山吹町、中里町、天神町、天神東町、矢来町、矢来東町、矢来南町、築地町、改代町、牛込水道町、西五軒町があり、祭りに参加してみたい人なら、このエリアを選ぶと楽しめるはずです。

 

細い道

細い道、行き止まりの道などもあり、防災面では注意も必要(クリックで拡大)

下町っぽいのは街路などにも表れています。古くから開かれてきた場所なので、細い路地、小規模な木造の一戸建てやアパートなどが少なからずあるのです。風情はありますが、一方で防災面の懸念がある区画などもあり、家を探す際にはそのあたりに注意したいところです。

 
高低差のある土地

道路が階段に繋がっているところもあり、高低差がかなりあることが分かる(クリックで拡大)

また、神楽坂方面に向かっては坂も多く、意外に急。神田川沿いは平坦ですが、少し離れると凸凹もあるのです。

 

江戸川公園

江戸川公園。桜の他には藤棚などもあり、緑、花が楽しめる(クリックで拡大)

都市としての魅力に加え、神田川沿いの自然にも恵まれています。神田川は桜の名所ですし、川沿いに広がる江戸川公園は緑豊か。散策にはうってつけで、公園内の高台からは早稲田方面の眺望が楽しめます。江戸川公園から早稲田寄りの場所には細川家下屋敷の庭園跡地を生かして作られた回遊式泉水庭園、新江戸川公園もあります。ちなみに川沿いから目白通り周辺にかけては永青文庫、関口芭蕉庵、講談社野間記念館などの施設、蛍で有名なホテル椿山荘東京などがあり、自然だけでなく、文化も楽しめます。

 
続いて住宅事情を見ていきましょう。

古くて安いアパートから高額マンションまで
物件のバリエーションは豊富

建設現場

規模は大きくはないものの、土地自体はないわけではなく、あちこちで建設中の現場を見た(クリックで拡大)

まず、意識しておきたいのはこの辺りは駅間が比較的近く、15分も歩くと他の駅が利用できることもあるほど。遠いから安いはあり得ないのです。また、特に新築マンションの用途地域を見ると準工業、商業という地域が大半。小日向など一部を除けば、あまり住環境に厳しくないというわけで、日当たり、騒音などについては大きな期待はしないほうが良いかもしれません。

 

商店街入り口の建設現場

商店街入り口のマンション建設現場。江戸川橋界隈でいえば住宅専用の地域のある小日向が、ブランド力もあり価格は高め(クリックで拡大9

それを踏まえた上で価格を見ていくと、まず、新築マンションはワンルームから3LDKまで幅広く供給されており、60平米台のファミリータイプで6000万円~。規模は100戸以下が中心で、今後もそれは変わらないはず。将来的に管理費、修繕積立金が高くなる可能性があることは覚えておきたいところです。

 
マンションの多いエリア

早稲田方面に向かう通り。並木のある通り沿いにはマンションが続く。あまり交通量も多くはなく、環境は良い(クリックで拡大)

中古はワンルームで1500~2000万円、70平米前後のファミリータイプで5000万円以上。築年数によって安くなるのは当然ですが、比較的下がりにくく、古くても高いのがこのエリア。利便性が高いため、その分が評価され、下がらないのです。中には100平米超で1億円以上という物件もあります。

 
一戸建て用地

かなりコンパクトな一戸建て用地。元々一戸だったところを分割したようだ(クリックで拡大)

新築建売一戸建てはほとんど出ないエリアで、出た場合で価格は7000万円~。土地面積は60平米前後、90~100平米くらいの建物面積の3LDKが中心となります。中古になると1億円、2億円という物件もあり、上を見出したらいくらでもというところ。目白台、小日向は知る人ぞ知るお屋敷街だからです。歩いてみると分かりますが、かなりの規模の住宅が並んでいます。

 

古いアパート

路地の奥、接道の悪い場所などには古いアパートが残っていることが多い(クリックで拡大)

賃貸はワンルームマンションで8万円~、2DKで14万円~。意外なのは3~5万円くらいの、古く、トイレ共同のアパートが多少残っていること。周辺に大学があるせいでしょう、古くから学生向けの物件が豊富にあったエリアなのです。ただ、年々、そうした建物の建替えは進んでおり、探しにくくなってきているようです。一方で賃貸でも高額物件があるエリアでもあり、100平米超、家賃数十万円という物件もちらほら。家賃にはかなりの幅があるわけです。

 

祭礼の表情

祭礼の日、参加する人、それを見守る人たちの表情に、ここに住む楽しさを想像した。こうした盛り上がりは他の街ではなかなか味わえない(クリックで拡大)

あまり知られていない街ですが、地図を見れば分かる通り、新宿区、文京区、千代田区のちょうどど真ん中に位置する街であり、都心へのアクセスは良好です。首都高速5号池袋線の出入り口も近いので車での移動も楽々。一方で神楽坂にも近く、下町情緒も味わえる街。神楽坂よりは多少ですが、お手頃という部分を考えると、穴場と言えるかもしれません。

 


*使用した地図はグーグルアースの上に東京地形地図を重ねたものに上から文字を載せた。文字はおおよその場所を示している。


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