現実から離れて不思議ワールドへ旅立つシャマラン作品
『サイン』(2002年度作品)妻を事故で失った男(メル・ギブソン)は、神の存在が信じられなくなり、牧師をやめて子供たちとトウモロコシ畑で働きながら暮らしていました。ところが畑にミステリーサークルが現れ、宇宙人が彼らを襲ってきたのです!
妻の死をきっかけになげやりになっていた主人公の人生が、宇宙人の襲来で大きな変化を見せていく。主人公が前向きに変化していく物語なのですが、ミステリーサークルや宇宙人と、風呂敷を大きく広げたものの、鮮やかにまとめあげることはできずグジャグジャになっちゃったみたいな……。
どこまで本気なのかわからず、実は笑いに走っているのでは? と、判断つきかねる微妙なラインをいくのがこの時期のシャマラン映画。人によって見え方が違う作品とも言えるでしょう。
監督:M・ナイト・シャマラン 出演:メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス、ロリー・カルキン、アビゲイル・ブレスリンほか
『ヴィレッジ』(2004年度作品)
60人ほどの人々が暮らす閉鎖的な村。ここには「村から出てはいけない」という掟がありました。しかし、目の不自由なアイヴィ(ブライス・ダラス・ハワード)の婚約者(ホアキン・フェニックス)が、アイヴィに心を寄せるノア(エイドリアン・ライン)に刺されたとき、彼女は薬を得るために村を出る決心をするのです。そして彼女は森の中へ……。
「森へ行くな、村から出るな」という掟の真相を明らかになったとき「こういうトリックの映画あったよね」と思う人もいるでしょう。ひとつのアイデアに肉付けをして、派手に盛り上げる演出は『サイン』にも似ています。この映画の一番の魅力はブライス・ダラス・ハワード。彼女の儚い美しさは森の妖精のよう。浮世離れした魅力は、この物語を支えていると言えるでしょう。
監督:M・ナイト・シャマラン 出演:ブライス・ダラス・ハワード、ホアキン・フェニックス、エイドリアン・ブロディ、ウィリアム・ハート、シガーニー・ウィーヴァーほか
『レディー・イン・ザ・ウォーター』(2006年度作品)
アパートの管理人(ポール・ジアマッティ)は、プールで水の妖精(ブライス・ダラス・ハワード)に出会います。彼女は自分の世界に戻りたいけど、選ばれし者の協力がないと帰れないと。そこで管理人はアパートの住人の協力を得て、彼女のために行動に出ることに。
シャマランのおとぎ話映画です。どんどん現実の世界から離れていくシャマラン監督ですが、妖精を救うファンタジーとして美しい物語。アパートの住人がなぜ簡単に管理人の妖精話を信じてしまうのだろうかという謎や、様々な事がわりとスムーズに進んでいきすぎのような気もするのですが、アンデルセン風なおとぎ話として楽しめばいいかもしれません。
監督:M・ナイト・シャマラン 出演:ポール・ジアマッティ、ブライス・ダラス・ハワード、フレディ・ロドリゲス、ジェフリー・ライトほか
このほかにも『ハプニング』、『エアベンダー』、『アフター・アース』がありますが、いずれも好評とはいいがたく……。
『ヴィジット』と『シックス・センス』以外、あまり良いこと書いていなくて申し訳ないです。しかし、映画界でも突出した個性の持ち主であり、ピタっとハマれば最強のセンスを放つ才能を持った監督であることは確か。『シックス・センス』を撮った監督なのですから!
『ヴィジット』で初心に戻ったと語るM・ナイト・シャマラン監督。この次の作品はどういうアプローチをしてくるのか本当に楽しみですね。