秋の星座の豆知識
秋の星座の豆知識
ペガスス座
秋の四角形はペガスス座の胴体にあたります。ペガススは、背中に羽の生えた天馬です。英語読みの「ペガサス」のほうが耳慣れているかもしれませんね。しかし、星座ではラテン語読みのペガススが正解です。アンドロメダ座
秋の四角形を形作る4つの星のうち、実は左上の星はアンドロメダ座の星です。その星からアルファベットのAの形に星をつないでいくと、古代エチオピアの王女アンドロメダの姿が浮かび上がります。続いて四角形の右(西側)の辺を地平線に向かってのばしてみましょう。すると、明るい星がみつかります。それは秋の星空でたったひとつの1等星、みなみのうお座のフォーマルハウトです。また、左(東側)の辺を延長していくと、くじら座の2等星デネブカイトスを見つけられます。 みなみのうお座にしても、くじら座にしても、暗い星が多いので、星と星を線でつないで星座全体をとらえるのは難しいかもしれません。でも、秋の四角形をガイド役に、各星座のだいたいの位置がわかればしめたものです。
秋の夜空に輝く星座たちは、ひとつのストーリーで結ばれています。星座の位置を確認しながらストーリーを追っていくと、秋の星空がぐっとおもしろくなってくるはずです。 古代エチオピアのケフェウス王と、王妃カシオペヤには、一人娘のアンドロメダ姫がいました。親というものは、子供のかわいさをつい自慢したくなるものですが、自慢が過ぎると周囲から反感を買うことも……ある日、カシオペヤは友人たちとのおしゃべりの最中に、娘のアンドロメダが海の妖精よりも美しいと口走ってしまいます。そんな思い上がった言葉は海の神にまで伝わってしまい、怒った海の神はエチオピアへお化けクジラを送り込んだから、さあ大変! エチオピアは大混乱に陥ります。
ケフェウス王はお化けクジラを退治しようとしますが、そう簡単にはいきません。神の怒りを鎮める方法はただひとつ。愛娘のアンドロメダをお化けクジラに生贄(いけにえ)として捧げること。それを知ったアンドロメダは、「自分の命で国(国民)が救われるのなら」と、生贄になることを受け入れます。
こうして海岸の岩に鎖でつながれてしまったアンドロメダ。それを見つけたお化けクジラは、アンドロメダに猛突進。ぐんぐんと近づいて、アンドロメダをガブリと食べようとしたその瞬間、ペガススに乗って現れたのが勇者ペルセウスです。
ペルセウスは数々の冒険をし、顔を見た者は石になってしまうというメデューサを退治。メデューサの血から生まれた天馬ペガススに乗って故郷へ帰る途中で、鎖につながれた姫を発見。助けにやって来たのです。
ペルセウスが打ち取ったメデューサの首をお化けクジラにつきつけると、お化けクジラは石になり、海の底へ沈んでいきました。
姫と国を危機から救ったペルセウスはアンドロメダと結婚し、エチオピアの新しい王になりました。また、ペルセウスの父である大神ゼウスの仲立ちによって海の神は怒りを鎮めました。そしてペルセウスとアンドロメダは国を治め、末永く幸せに暮らしたそうです。
カシオペヤ座
アルファベットのW(またはM)のような星の並びが特徴的で、一度見たら忘れられない星座です。鎖につながれたアンドロメダのそばで、愛娘を心配そうに見守っているように見えます。カシオペヤ座のあたりは、天の川の通り道です。双眼鏡や望遠鏡を向けるとたくさんの星のきらめきを目にすることができます。
ケフェウス座
細長い五角形に星が並んでいるので、夜空で見つけやすいように感じますが、あまり目立つ星座ではありません。けれど、この星座の歴史は古く、さまざまな民族がこの星の並びに王の姿を見てきたというのが不思議です。カシオペヤ座もケフェウス座も、ひと晩中沈むことなく北の空に輝いて見えます。
くじら座
くじらといっても、私たちが知る海の生き物とはまったくの別物。牙や腕のある、巨大な怪物です。くじらのしっぽの星は、2等星のデネブカイトス。先ほどご紹介した秋の四角形から簡単にたどることができます。ペルセウス座
アンドロメダ座の東側で剣を振りかざし、右手にはメデューサの首を持ち、くじら座に戦いを挑んでいるかのようです。星座のガイド本には、決まって漢字の「人」のような星の並びが特徴的だと書かれているのですが、私にはどうしても「人」には見えません……みなさんにはどのように見えるでしょう? ぜひ夜空で確認してみてください。古代エチオピアのストーリーを思い出しながら星座をたどると、秋の夜空が1枚の絵巻のように思えてきます。季節は読書の秋。本を読むのもいいものですが、たまには遠くに輝く星を見ながら、空に広がる壮大なストーリーを楽しんでみてはいかがでしょう。
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