熱帯魚/熱帯魚入門・用語辞典

#117 グリーンネオンの繁殖

消費的な飼育を省みたとき、繁殖にチャレンジしてみようと思った。グリーンネオンテトラの現地での生息状況と、繁殖方法についての質問。

長谷川 秀樹

執筆者:長谷川 秀樹

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グリーンネオンテトラの繁殖


Q.グリーンネオンを繁殖させてみたく、色々調べてみたものの、有力な情報を見つけることができませんでした。

ショップで販売される個体は、現地採集魚のようなので、消費的な飼育を繰り返していると自然破壊につながるのでは?との思いから繁殖を考えています。実際の自然下でのグリーンネオンの生息状況も含め、繁殖について教えてください。

グリーンネオン
3種いるネオンテテトラ(原種)の中でも、最も小さくシックな色合いから人気は高い。
A.グリーンネオンテトラは、パラケイロドン(Paracheirodon)属3種の中で最も小さい、グリーンのラインが美しい人気種です。また、質問にもあるように販売個体のほとんどが現地採集個体と思われ、現在商業的な繁殖は皆無だと思われます。

パラケイロドン(Paracheirodon)属には、

  • ネオンテトラ Paracheirodon innesi
  • カージナルテトラ Paracheirodon axelrodi
  • グリーンネオンテトラ Paracheirodon simulans

上記の3種が記載され、その内ネオンテトラのみが、東南アジアでの商業的な養殖に成功しています。

観賞魚としての需要を採集に依存しているにも拘らず、100~200円程度で販売されていることから推測されるように。現地では大量にみられる、ポピュラーな種であることが窺われます。実際、CITESIUCNにも記載されていません。

とは言え、“ポピュラー種であるから、採集に依存しても良い”という訳ではなく、消費的な飼育は是正していくべきとの考えには、とても賛同できます。

しかし、実際の繁殖情報については、ほとんど例がなく、詳細については知りかねます。推測になりますが、同じパラケイロドン属2種の産卵形態からみて、ばら撒き方の産卵で間違いない筈です。産卵の最中から、雌雄共に卵を食べてしまうため、卵を保護するための工夫が必要です。

また、孵化直後の稚魚のサイズが小さいため、初期試料にマイクロワームやインフゾリアが必要だと思われます。しかも、光(紫外線)に弱いため、繁殖させる際は遮光するなどの注意が必要でしょう。

現地での水質を参考にセッティングをし、同系統のカラシンの繁殖を参考に、産卵を促す刺激を幾つか試してみるのが良いだろうと思います。

海外のサイトで情報収集していた際に、ミシガン大学のサイトに自然での繁殖形態についての情報があったので、以下に要約しておきます。参考情報として、末尾にもリンクしておくので、そちらも参考にしてください。

自然では、雨季のシーズンに水位が上がることに拠って産卵する。通常130個程度の卵を、ばら撒くように産む。孵化にかかる時間は、24時間程度。数週間毎に産卵を繰り返す傾向がある。

最後に、テトラの仲間の中でも、繁殖難易度は高い部類に入るかと思われます。中々結果に結びつかないかもしれませんが、ぜひチャレンジしてみてください。

関連情報
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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