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お腹の中でつくられる、注目の短鎖脂肪酸とは(2ページ目)

ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸の作用が注目されていますが、短鎖脂肪酸にも熱い視線が注がれています。大腸の腸内細菌の発酵により生成される短鎖脂肪酸の働きや、増やすためにはどんなものを食べればよいのかをご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

腸内細菌により発酵してつくられる短鎖脂肪酸

短鎖脂肪酸は私たちの体の大腸において、腸内細菌が消化されにくい食物繊維やオリゴ糖を発酵することで生成されます。ヒトの大腸内で生成される短鎖脂肪酸は、主として酢酸、プロピオン酸、酪酸とみられています。

大腸で発酵して生成された短鎖脂肪酸は、エネルギー源として利用されたり、腸内環境をよくして健康に役立つと注目されているのです。

例えば、腸の中では善玉菌と悪玉菌、また状況を見て善玉菌が優位だと善玉菌に悪玉菌が優位だと悪玉菌になびく日和見菌がいます。腸内環境を良くするには悪玉菌を減らし善玉菌が増えることが重要ですが、短鎖脂肪酸は、腸内を適度な酸性に保つことで、悪玉菌の増殖を抑えます。特に酢酸には悪玉菌を退治する殺菌作用や、増殖を抑える作用があることで知られています。

腸の粘膜は、細菌やウイルスなどの病原体の侵入を防ぐ防御の砦です。酪酸やプロピオン酸は、腸粘膜を刺激して、腸のバリア機能を高める働きがあると考えられています。

他にも、過敏性腸症候群などの炎症性疾患や糖尿病、心血管疾患の予防、腸の蠕動運動の促進、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を促進する働きもあるのではないかと、今後のさらなる研究に期待が寄せられています。

短鎖脂肪酸を腸内でつくるためには

腸内の短鎖脂肪酸を増やすためには、食物繊維やオリゴ糖を豊富に含む食品を積極的に食べることがおすすめです。ただし、食物繊維も、種類によって、発酵・分解性は異なります。

以前食物繊維は、栄養学ではエネルギーを作らない0kcalとされていましたが、現在は大腸内で発酵・分解されエネルギーを産生することが明らかにされ、食物繊維のうち完全に発酵分解を受けるものは2kcal/gで、発酵を受けないものは0kcal/gと推定されています(平成15年厚生労働省栄養表示基準の一部改正)。このエネルギー推定値が高い食物繊維ほど、短鎖脂肪酸の産生量が高いと考えられています。

またレジスタントスターチも短鎖脂肪酸を生成します。発酵分解率が75%以上と高く、2kcal/gのエネルギーを生成すると推定されているのは、セルロースなどの不溶性食物繊維よりはペクチンや小麦胚芽、グアーガムなどの水溶性食物繊維や、フラクトオリゴ糖、不溶性と水溶性の特長を併せ持つレジスタントスターチです。

ペクチンは果物や野菜に含まれ、フラクトオリゴ糖はゴボウやタマネギなどの野菜に、レジスタントスターチはインゲン豆や大麦、米などに含まれています。
 
またそれらを腸内で発酵させる力のあるビフィズス菌なども摂るとよいでしょう。その場合には、腸まで生きて届くビフィズス菌を選ぶこともおすすめです。


■参考/
・脂肪酸学(一般社団法人Jミルク)
・食物繊維の熱量(エネルギー)について(日本食品分析センター)
・脂質脂肪酸のはなし(消費者庁)
・腸内細菌が作る酪酸が制御性T細胞への文化誘導のカギ(理化学研究所)
・レジスタントスターチの栄養生理と消化管(日本栄養•食糧学会 中部支部)
その他

 

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