子育て/子育て関連情報

学校や先生へのクレーム・苦情を上手に伝えるコツとは?

学校や先生にクレームや苦情を言いたい場合、どうしたら上手く伝えられるでしょうか。普段は我慢しているけれど、子どもの様子が変だったり、学校からの連絡が不親切だったり、先生の対応に不審な気持ちを持ってしまったとき、 伝えにくいクレームを上手に伝える方法・コツをご紹介します。

福田 由紀子

執筆者:福田 由紀子

臨床心理士/メンタルケア・子育てガイド

学校や先生にクレーム・苦情を上手に伝えるには? 

学校や先生へのクレーム・苦情はどう伝えたら?

学校や先生へのクレーム・苦情はどう伝えたら?


学校に言いたいこと、ありますよね。「明日、牛乳パック2つ持たせてください」といった急な連絡だったり、子どもへの対応にカチンときてしまったり。でも、「これくらいなら……」と普段は我慢している人が多いのではないでしょうか。

「モンスターペアレントだと思われたくない」という気持ちもあると思います。子どもを「人質に取られている」から言えない、という声もよく耳にします。

人質という表現は物騒ですが、クレームを伝えることによって、子どもが不利益を受けたりしないだろうかという不安から、言いたいことを我慢してしまう親は多いようです。そこには、先生や学校への「不信」があります。

でも、クレームや要望は、伝えないと「ないもの」として扱われます。つまり、学校は不適切な対応に何も気づかず、気づかないから変わっていかないのです。むしろ「良きこと」として伝承されてしまう場合も。子どもがより良い環境で学ぶために、保護者の声を伝えるのは大切なことではないでしょうか。

では、どのように、伝えていくといいのでしょうか。  

感情的に苦情を言うのは避けましょう! 冷静な対応が解決へ

怒りで頭に血が上っているような時は、行動を起こさないようにしましょう。例えば「子どもがいじめにあっている」と知った時などは、カーッときやすいものですが、感情にまかせて動くとトラブルが大きくなってしまいます。喧嘩腰にならないことは、建設的な解決に向けて、最低限注意したいものですね。

まずは冷静になって、情報を集めましょう。子ども自身に詳しく聞くのもいいですし、子どものお友だちやママ友などから、周辺情報を聞き出すことで、全体像が見えてくるかもしれません。

 

クレームを伝えるコツ:問題を明確にする

学校に、何について伝えたいのかを明確にしましょう。「もっとはよ言えや」なのか「どないなってんねん」なのか「なんとかせえや」なのか……。まずは、学校のどのような対応にカチンときたのか、学校にどうしてほしいのかを整理しましょう。

腹が立つと、あれもこれも……と、これまで溜めてきた色々な不満が出てくるものです。しかし、それを一気に伝えるのは、おすすめしません。内容がぼやけて「不満の多い親」だと思われてしまいます。また、芋づる式に出てくる不満は関連していることが多いため、1つの問題が解決すれば自然に解決していくことが多いのです。

「一度に伝えるクレームは1つ」が効果的です。

 

クレームを伝えるコツ:誰に伝えるのか?教育委員会へは最終手段

問題が明確になったら、誰に伝えるのかを考えましょう。

「クレームを伝える」と思うと肩に力が入って攻撃的になりがちですので、「問題の解決方法について相談する」とシフトチェンジしてみるといいでしょう。

問題の性質や、関わっている先生などにより、伝える相手は、担任だったり、学年主任だったり、教頭や校長だったりすると思います。基本的には「子どもに近い順」がいいと思います。役職を飛び越えられると「プライドを傷つけられた」とヘソを曲げる先生もいるので、注意しましょう。ただ、担任についてのクレームの場合、上の役職の先生に相談することもあるかもしれませんよね。誰に相談したら最も効果的かを考えましょう。

教育委員会などに情報を流してコトを大きくするのは、学校に相談しても誠実に対応する姿勢が見られなかった時など、「対決やむなし」といった時の最終手段だと思っておきましょう。
   

クレームを伝えるコツ:伝える手段を決める

学校や先生へのクレーム・苦情を伝える際は、事実や経過を紙に書いて残そう

学校や先生へのクレーム・苦情を伝える際は、事実や経過を紙に書いて残そう


誰に何を伝えるか決まったら、伝える手段を考えましょう。電話がいいのか、直接学校に出向くのか、子どもの連絡帳に書くのか、あるいは、手紙を書いて子どもに渡してもらうのか。これは自分がいちばん上手に伝えられる方法を選びましょう。

電話だと感情的になってしまうけれど、相手の顔を見ながらだと冷静に話せる人もいますよね。話し下手で面と向かうと思ったことが言えない人は、手紙を書くほうがいいでしょう。

言いたいことを箇条書きにしておくのもおすすめです。「言い忘れた」と後悔することが少なくなります。筆者は、直接口頭で伝えるときも、一度手紙の形で書いてみます。文章にすると問題が整理できて冷静になれるからです。

 

クレームを伝えるコツ:個人名は名指しにする

いじめなどの子ども同士のトラブル、または先生の不適切な行為などについては、こちらが持っている情報を全部伝えましょう。個人名がわかっているなら、名指ししましょう。

当事者が誰かわからない場合、学校はなかなか動けません。内容によっては「調査」をすることになるでしょうが、その過程で話が知れ渡り、問題が大きくなってしまうことも少なくありません。問題を必要以上に大きくせず、早い段階で適切に手を打ってもらうためには、知っている情報は伝えたほうがいいようです。信憑性が疑われる場合は、そのことも一緒に伝えればいいのです。

なお、匿名でクレームを伝えるのはおすすめできません。匿名にしても、誰の親からのクレームか学校側はだいたいわかるからです。匿名で不満を伝えたい、言い換えれば、匿名で伝えるレベルの不満であるなら、学校やPTAからのアンケートが回ってきた時を利用しましょう。

 

学校や先生へのクレーム・苦情は上手に伝える順番がある!

クレームは、「事実」→「気持ち」→「提案」の順に伝えましょう。

まずは、何があったのかを客観的に伝えます。客観的事実を伝え、なるべく主観を交えない方がいいでしょう。子どもからの情報であれば、「子どもがこう言っていた」と、子どもの言葉をそのまま伝えます。

次に、そのことについてどう思っているかを伝えます。どのように困ったかを具体的に伝えたり、そのことを知ってどんな気持ちになったかを、「私は」を主語にして気持ちを伝えましょう。

学校と対決する気持ちがないのであれば、激しい怒りは直接ぶつけず、「戸惑い」や「心配」、「ショック」や「残念」といった表現にして伝えるといいかもしれません。

そして最後に、学校に何をしてほしいのかを伝えましょう。学校に丸投げするのではなく、解決するために家庭でできること、学校と家庭とがどのように連携していけるかといった視点も入れられるといいですね。


居丈高になることも、卑屈になる必要もありません。子どもの学びを守るために、伝えた方がいいと思うクレームは伝えましょう。学校と家庭は、対等な関係であることが大切なのではないでしょうか。

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