洗練された乗り心地とハンドリングを両立するフォード・フォーカス
ビッグマイナーチェンジを受けたフォード・フォーカスは、従来モデルから「ハンドリングマシン」と呼びたくなる仕上がりで、ややマニア向け? ともいえる走りが身上だった。
ダイナミックで彫刻的な外観は存在感があり、内装も質感、使い勝手が向上しているのが朗報だ。そして、何よりも走りの質感、乗り心地や静粛性などが大きく進化しているのが感じられた。
ハンドリングはFF離れした軽快感があり、軽めのパワステでも高速コーナリングを正確にこなしてくれるのは驚きのひと言。どんな走行ラインでも描けそうで、ワインディングではまさに水を得た魚のように、スイスイとコーナーをクリアしていく。
コーナーでの回頭性を高めるトルクベクタリングの威力も当然あるのだろうが、シャーシのバランスに優れるのは間違いなく、FRのBMW1シリーズと味わいは異なるものの、切れ味という点ではフォーカスの方が上かもしれない。
1.5Lエコブーストは速い!
180ps/6000rpm、240Nm/1600-5000rpmを誇る1.5L 直列4気筒ターボの「Eco Boost」エンジンのトルク感、パワーフィールも期待を裏切らない。
2.0LのNAエンジンを積んでいた従来モデルは170ps/6600rpm、202Nm/4450rpmで、最高出力は10psアップし、最大トルクは38Nmも高くなり、しかも発生回転域が広くなった恩恵は明らか。箱根ターンパイクの急勾配でもグイグイと加速していく力強さが魅力だ。
BMW118iの直列3気筒ターボは、136ps/4400rpm、220Nm/1250rpm-4300rpmという数値で、フォーカスは1気筒多いとはいえ、44ps/20Nmの差は明確なアドバンテージといえるし、実際の走りっぷりからも存分に感じられた。
装備も大きくアップデート
そのほか装備では、走り自慢のフォーカスだけにパドルシフトが追加されたのがうれしい。トランスミッションは従来のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)からトルコン付の6ATになったが、変速はスムーズかつ適度にスポーティなフィールを味わえるからスポーツドライビングを楽しむ際でも不満を抱かせない。
安全面では、自動ブレーキシステムのアップデートやACC(アダプティブクルーズコントロール)、車線逸脱補正システム、駐車支援のアクティブ・パークアシストなど、とくに上級グレードの「Sport+ EcoBoost」の充実ぶりが目を惹く。
次ページではベンチマークとなるVWゴルフについて