地震保険の加入者が着実に増加しているようです。この制度が始まったのは1966年とだいぶ古いのですが、阪神大震災以降に加入件数の増加が目立つようになり、2006年3月に1,000万件を突破しました。2015年7月末現在では1,658万件あまりとなっています。
当初は3,000億円にすぎなかった保険金総支払限度額も、最近は加入件数の増加に伴い改定が繰り返されており、2014年4月には7兆円まで引き上げられました。
損害保険料率算出機構がまとめた資料(2013年度末時点)によれば、都道府県別で加入率が最も高いのは宮城県(50.4%)で、愛知県(37.9%)、東京都(34.9%)、神奈川県(33.1%)など、7都県が30%を超えています。
とくに宮城県は2006年度末時点で27.7%でしたから、7年ほどの間にかなり契約割合が伸びています。東日本大震災の経験も影響しているのでしょう。
その一方で、地震保険の加入率が最も低いのは長崎県(13.2%)であり、沖縄県(13.4%)、島根県(13.9%)、長野県(16.8%)、佐賀県(17.3%)など、13県が10%台でした。
近い将来に大地震による被害が懸念されている地域、あるいは近年に比較的大きな地震が相次いだ地域の加入率が高めになっていますが、全国平均が27.9%なのに対して、兵庫県は23.3%、静岡県は28.4%と、意外に低い印象です。
また、太平洋側の都府県に比べて、内陸部や日本海側の県で相対的に地震保険の加入率が低い傾向もあるようですが、実際の地震被害は予期せぬところで起きるものです。公表されている地震の発生確率が低い地域なら安全というわけではありません。
地震保険をめぐっては、「(支払総額の上限があるために)大災害になればなるほど十分に支払われない」とか、「壊れた家を建て替えられるだけの保険金が出ない」といった声も聞かれるのですが、保険金があるのとないのとでは大違いです。
住宅再建の資金というよりも、「生活再建の資金」と割り切って考えたほうがよいでしょう。
なお、地震保険料については2017年から3段階に分けて、全国平均で19%の引き上げが実施されます。引き上げ率は都道府県や建物の構造区分によって異なり、最大50%のプラスとなる県がある一方、2ケタのマイナスとなる場合もありますから、契約の際には最新の資料を確認してください。
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(この記事は2008年4月公開の「不動産百考 vol.22」をもとに再構成したものです)
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