肺・気道の病気/咳・痰・喘鳴(ぜいめい)

くしゃみってなぜ出るの?止めるには?

くしゃみは鼻に侵入した異物などを除くために行う、からだの反射的な動作。だからこそ止めるのはなかなか難しいものです。「飛沫はどこまで飛んで行く?」「止める方法はある?」くしゃみのメカニズムを知ることで、ある程度コントロールできるようになります。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

くしゃみが出るメカニズム

クシャミ

くしゃみが急に出たりすることはありませんか?

くしゃみは鼻に侵入した異物などを除くために行う、からだの反射的な動作です。

呼吸などによって鼻の粘膜に空気中の異物が付着すると、神経が刺激され、脳に伝達されます。そして脳の指令によって、肺と腹部の間の膜である横隔膜が収縮。肺が風船のように膨らみ、自動的に息が吸い込まれます。それを一気に吐き出すことによって、異物を一緒に体外に排出しているのです。

くしゃみの動作は短時間で、無意識のうちに行われます。人によって様々な音が出たりするのは、息を出す時に空気が一気に声帯を通るのが理由です。

鼻の粘膜に侵入する異物は様々で、ダニ・ホコリ・花粉・カビなど、鼻に侵入するものは何でも異物として認識されます。よくある胡椒(こしょう)などの刺激的な物質は、鼻の粘膜を刺激しやすいです。さらに紙縒り(こより)、髪の毛などで鼻の粘膜を刺激するとくしゃみが出ます。

また、太陽の方を見たり、暗い所から急に屋外に出たりしたときに、くしゃみが出ることもあります。詳細なメカニズムは不明ですが、強い光刺激が原因のようです。

病気が原因のくしゃみとは

くしゃみは風邪を引いたときやアレルギーによっても、出ることがあります。

鼻に侵入した病原体が増殖し粘膜を刺激すると、炎症が起こり白血球からヒスタミンなどの化学物質が出てきます。ヒスタミンなどが三叉神経を刺激すると、鼻水が出たり、鼻水が粘膜を刺激したりしてくしゃみが出て、鼻水と共に病原体が体外に排出されます。

さらに、花粉症などのアレルギーの場合は、花粉やダニの成分が侵入することで、鼻の粘膜でヒスタミンが肥満細胞から産生されます。そして病原体の場合と同じように三叉神経が刺激され、くしゃみが出ることで、花粉やダニの成分が鼻水などとともに体外に排出されます。

くしゃみはどこまで飛んで行く?その影響範囲とは

風邪を引いたときに出るくしゃみには、鼻水・ツバ・痰などの飛沫に加え、さらに病原体が含まれています。これらの飛沫はどのくらいの範囲まで飛んでしまうのでしょうか?

くしゃみによって飛沫が飛ぶ距離は、一般的には1~2mと言われています。ただ、もちろん呼吸の大きさなどによっても個人差がありますし、飛沫の大きさによっても異なります。また、周りの環境によっても左右されます。乾燥していると、くしゃみに含まれる病原体を含む飛沫は小さくなり、飛ぶ距離も長くなります。

インフルエンザの場合は咳とくしゃみがありますが、人と人の間の距離は2mぐらい離れておくと、感染しにくいと言われています。とはいえ、離れているからと安心はせずに、マスクをすることで飛沫の拡大を防ぐことができます。風邪を引いた場合は、咳エチケットとして公共の場ではマスクをしておきたいものです。

咳エチケットとは

咳エチケットとは、咳によって、周りの人への感染を防ぐためのエチケットです。
厚生労働省は咳エチケットとして、以下のことを勧めています。

  • 咳・くしゃみをする際はティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる
  • 鼻汁・痰などを含んだティッシュをすぐに蓋付きの廃棄物箱に捨てられる環境を整える
  • 咳をしている人にマスクの着用を促す
    (マスクはより透過性の低いもの、例えば、医療現場にて使用される「サージカルマスク」がより予防効果が高くなりますが、通常の市販マスクでも咳をしている人のウイルス拡散をある程度は防ぐ効果があると考えられています。ただ、マスクを着用しているからといって、ウイルスの吸入を完全に予防できるわけではないことにも注意が必要です)
  • マスクの使用は説明書をよく読んで、正しく着用する

くしゃみが出そうになったときに止める方法はある?

マスク

マスクをしておくと、やはり異物が鼻に入りにくくなります。

くしゃみは反射的な動作ですので、なかなか止められません。また、からだにとって一種の防護反応ですので、無理に止めない方がよいでしょう。

しかし、時と場合によっては、少しでも減らしたいことがあるかもしれません。以下でくしゃみを減らす3つのポイントをご紹介しましょう。

  1. 鼻に異物が入らないようにマスクをしておくと、くしゃみの予防になります。花粉症の方が花粉飛散シーズンにマスクをするのと同じです
  2. 個人差がありますが、ツボを押さえることでくしゃみが出にくくなることがあります。鼻の下、または、鼻の小鼻の端を押します。あまり押し過ぎると鼻が痛くなります
  3. くしゃみの原因のひとつはヒスタミンですので、ヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬を内服することで、くしゃみを減らすことができます

迷惑をかける場合もあるかもしれませんが、完全に止めるのは難しいので、飛沫拡散予防のエチケットだけでも心がけましょう。

音を減らすためには、口と鼻をおさえて、空気が一気に出るのを少しでも減らすと良いでしょう。つまり、ハンカチなどで口と鼻をおさえたり、手で鼻をおさえて口をしっかりと閉じることです。

周りには迷惑かもしれませんが、くしゃみは反射ですから、意識的にゼロにはできません。

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