注目度抜群のジープ・レネゲードとは?
今秋、日本に上陸したジープ・レネゲード。ジープ初のスモールSUVという位置づけで、従来のジープ車とは異なるデザインやカラーリングによりポップな雰囲気が漂う。
そのためか、従来のジープ・ファン以外からも大きな注目を集めているようで、気になる方も多いだろう。
2.4Lの「トレイルホーク」はオフロード向き?
今回試乗したのは、2.4Lを積む「トレイルホーク」で、同クラス唯一となる9ATを搭載している。駆動方式はオンデマンド式の4WDで、副変速機付に匹敵する強大な駆動力を確保。
Lowスイッチにより1速による走行が可能で、上級のチェロキーと同様にリヤアクスル分離機能(必要に応じて自動で「4×2」から「4×4」に切り替わるシステム)とパワートランスファーユニット(PTU)を採用。PTUが4輪によるトラクションが必要と判断すると瞬時にプロペラシャフトを通じ後輪にトルクを配分するシステムとなっている。
プラットフォームはこちらも出たばかりのフィアット500Xと共有しているが、ジープらしい骨太なイメージで、そこにポップな雰囲気のデザインやカラーが施されているのだが、乗り味はオンロード系とオフロード系SUVの中間的なもの。
モノコックボディに、4輪独立懸架でストラット式サスペンションを搭載しているが、オンロードでの乗り心地は、オールシーズンタイヤ(マッド&スノー)も含めたオフロードでの走破性も確保されていることを考えると、まずまずという印象。
また、今回は悪路走破の機会はほとんどなかったが、アプローチアングル30.5°、ランプブレークアングル25.7°、デパーチャーアングルは34.3°という数値は乗用系SUVとしては十分なもので、単なる街乗りSUVとして乗るにはもったいないほどの実力の持ち主なのだ。
つまり、オンロードしか想定していないシティ系SUVよりはボディの動きは大きめだが、決して不快ではない。
また、ハンドリングも思ったよりもクイックで軽快感があり、ほかの乗用車系SUVのオンロード重視のフットワークとは異なるが、「かったるさ」とは無縁なのも歓迎されるかもしれない。
必要十分な動力性能
175ps/6400rpm、230Nm/3900Nmという2.4Lの直列4気筒エンジンは、1560kgという車両重量には必要十分。山岳路から高速道路での巡航まで楽にこなしてくれる。
注目ポイントの9ATは、ジープブランドでは兄貴分のチェロキーでも試乗済みだが、チェロキーのそれと比べると試乗車特有のものなのか、個体差なのかシフトアップ時のギクシャク感が明確にあり、洗練度という意味ではもう一歩だ。
取り回しのしやすさは?
ボディサイズは全長4260×全幅1805×全高1725mmで、全幅1800mm以下がマストという駐車場事情だと「惜しい」数値。スモールSUVといってもマツダCX-3よりも全幅は40mmもワイドで、ホンダ・ヴェゼルよりも35mmワイドというサイズは、駐車場や道路事情が厳しい環境だと持てあますほどではないが、気にしたい点かもしれない。
それでもジープらしく車両感覚は比較的つかみやすい。運転席のヒップポイントを上げて高めの位置に座ることが条件だが、コマンドポジションといえる運転姿勢が可能だ。それでもこちらもジープらしく、フロントのウインドウスクリーンは天地高が短いため、狭い場所から外をのぞくような感覚で、初めてのジープなら慣れが必要かもしれない。
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