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レバレッジ型ファンドの高倍率競争は続く

投資信託の世界では「ブル・ベア型」ファンドのレバレッジの高倍率競争が激化しています。3.7倍のレバレッジでも驚いたのに、2015年10月には4.3倍のレバレッジを効かせた投資信託が新規設定されたのです。どんな商品が見てみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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肝に命じたいハイリスク・ハイリータン

ハイリスクハイリターンのファンド

ハイリスクハイリターンのファンド

野村アセットマネジメントが2014年6月に日本株の3.5倍のブル・ベア型ファンドを、SBIアセットマネジメントは2015年2月に日本株の3.7倍のブル・ベア型ファンドを設定、とブル・ベア型ファンドのレバレッジは年々高倍率化しています。そして、楽天投信投資顧問がレバレッジ4.3倍の日本株ブル型ファンドを10月7日に新規設定しました。その名も「楽天日本株4.3倍ブル」です。

同投信は、わが国の株価指数を対象とした先物取引を積極的に活用することで、日々の基準価額の値動きがわが国の株式市場の値動きに対して概ね4.3倍となることを目指して運用される投資信託です。4.3倍になる鍵は、投資信託の純資産総額の概ね4.3倍程度の株価指数先物取引を買建てることにより実現されるのです。

4.3倍のレバレッジがかけられているのですから、株式市場の上昇時に基準価額は大幅に値上がりする反面、株式市場の下落時に基準価額は大幅に下落する、まさにハイリスク・ハイリターンの投資信託になります。

たとえば、株式市場が1日で5%上昇すれば、同投信の基準価額は21.5%(5%×4.3倍)上昇し、反対に株式市場が1日で5%下落すれば、同投信の基準価額は21.5%(-5%×4.3倍)下落することになります。

投資期間が長いほど4.3倍にならない

注意したいのは、同投信の基準価額は日々の株式市場の値動きの概ね4.3倍程度になるということです。仮に基準日の基準価格を100とします。1日目に株式市場が5%上昇した場合、基準価額は105になり、2日目には株式市場が4.76 %上昇して基準価額は110 になったとしましょう。

基準価額は2 日間で10%上昇(100が110になった)したことになりますが、同投信の基準価額は1日目に100が121.5(5%×4.3倍)になり、2日目には同基準価額は121.5が146.4(4.76%×4.3倍)になります。2日間で基準価額は10%上昇したため、4.3倍のレバレッジがかけられているということは、基準価額は143になるべきところが146.4になるのは、日々の値動きの概ね4.3倍の値動きになるからです。

下落した場合も検証してみましょう。

基準日の基準価格は100、1日目に株式市場が5%下落した場合、基準価額は95になり、2日目には株式市場が5.26%下落して基準価額は90になったとしましょう。

基準価額は2日間で10%下落(100が90になった)したことになりますが、同投信の基準価額は1日目に100が78.5(-5%×4.3倍)になり、2日目には同基準価額は78.5が55.9(-5.26×4.3倍)になります。2日間で基準価額は10%下落したため、4.3倍のレバレッジがかけられているということは、基準価額は67になるべきところが55.9まで急落したのは、やはり日々の値動きの概ね4.3倍の値動きになるからです。

もみ合い相場にも弱い

レバレッジが4.3倍もかけられていることから、究極のハイリスク・ハイリターン投信と呼べる商品ですが、株式市場がもみ合っている状況にも弱いということも覚えておいてください。

たとえば、株式市場が1日目5%上昇、2日目4.76%下落、3日目5%下落、4日目5.26%上昇したとします。基準価額を100とすれば、1日目=105、2日目=100、3日目=95、4日目=100という動きなります。

この時レバレッジが4.3倍かけられている投信の基準価額は、1日目=121.5(5%×4.3倍)、2日目=96.6(-4.76×4.3倍)、3日目=75.8(-5×4.3倍)、4日目=92.9(5.26×4.3倍)という動きなるのです。

投資信託は中・長期で資産形成を行う金融商品ですが、ことブル・ベア型ファンドは中・長期投資に向きにくいため、短期で割り切って投資する商品と言えるでしょう。なお、同投信には「ベア4.3倍」は設定されていなく、同時に設定されたのは「ベア3倍」です。
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