中毒はなぜ起きる? 吐かすのも危険
秋の実りの一つギンナンは、おいしいけれど、一度にたくさん食べすぎないように気をつけましょう。
4-O-メチルピリドキシンは構造が、ビタミンB6に似ており、ビタミンB6の作用を阻害し欠乏させてしまうのです。
グルタミン酸はビタミンB6によって、神経を抑制する作用のあるGABAという神経伝達物質を合成しますが、4-O-メチルピリドキシンによってこれが不足するため、痙攣などの症状につながるのではないかと考えられています。
ではどれくらいの量なら食べてもよいのでしょうか。
大人の場合は、多くの場合には数十個単位で大量に銀杏を食べないと中毒にはなりません。子どもの場合も1粒や2粒を口に入れたからといって心配はありません。
中毒の報告について、消費者庁ではこどもが5~6個程度で中毒を起こした例があるとしています。中毒症状は摂取後1~12時間で発症し、主に嘔吐、痙攣(繰り返す発作)、めまい、顔面蒼白、発熱、意識混濁、呼吸困難等です。
4-O-メチルピリドキシの性質は熱に安定しており、煮たり焼いたりなどの調理加熱しても消失しません。中毒症状を起こした場合には、吐かすとけいれんを誘発するので、なるべく吐かせないようにして病院での対処療法を受けるよう勧告しています。
また国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性情報」では、注意事項として「ウルシ科の植物(マンゴー、カシューナッツも含む)にアレルギーのある人は、ギンナンに対してもアレルギーである可能性が高い」と示しています。意外な食品がアレルゲンとなるケースがありますから、気をつけましょう。
お子さんに食べさせるのは控えつつ、成人の場合は常識的な範囲で食べる分には心配がないので、秋の実りを食卓で楽しみましょう。
■参考/
・銀杏中毒について(農研機構)
・イチョウ葉エキスの薬理活性(千葉科学大学紀要5.61-67.2012)
・銀杏中毒について(農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究)
・ギンナン 食品衛生の窓東京都福祉保健局
・イチョウ葉食品の安全性(国民生活センター)
・イチョウ(健康食品の安全性・有効性情報)
・銀杏(ぎんなん)の食べ過ぎに気をつけて(Vol.59こども安全メールfrom消費者庁)
・その他