「多摩平団地」の一角が「たまむすびテラス」として多世代居住空間に
リノベーションを熟知した建築家の設計による住戸デザインだけでなく、棟丸ごとをリノベーションした事例が「たまむすびテラス」です。多摩平団地(東京都日野市)は、昭和30年代に建設された豊かな自然を活かした、全247棟からなる大規模な団地でした。「多摩平の森」と名称を変えて建て替えが進んでいましたが、団地再生事業の一環として、既存の5棟については住棟単位で民間事業者によるリノベーションで活用することとしました。選定された民間事業者は一定期間住棟を借り受け、リノベーションの企画設計だけでなく施工や入居者の募集運営まで行います。
公募の結果、3つの内容の異なるプロジェクトが選定されました。3つのプロジェクトそれぞれが、異なる対象を異なる魅力で呼び込みながらも、団地の豊かな自然やゆとりを活用した連携をすることで、学生から高齢者まで多世代が暮らすコミュニティに生まれ変わり、「たまむすびテラス」と名付けられました。
3つのプロジェクトをそれぞれ見ていきましょう。
まず、5棟のうち2棟は、団地型シェアハウスの「りえんと多摩平」に再生されました。事業者は東電不動産(株)、企画運営は(株)リビタです。共用のキッチン・ラウンジやテラス、共用のランドリーやシャワーブースを備えたシェアハウスで、近隣大学の学生や若い社会人が入居しています。
「りえんと多摩平」のあおぞらテラス。地域に開放されているので、シェアハウスの若者だけでなく、近所の人も利用できる。
「りえんと多摩平」の共用キッチン・ラウンジ(左)とシェアハウスの居室(右)
室内は(株)ブルースタジオらしい、無垢のフローリングやコンパクトな水回りなどが特徴。
「AURA243多摩平の森」の賃貸住宅と貸し菜園(提供:(株)ブルースタジオ)
「ゆいま~る多摩平の森」。エレベーターを設置し、バリアフリーに改修した。
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団地の持つゆとりや自然の豊かさという魅力を理解し、リノベーションを熟知した民間事業者の提案を取り入れることで、付加価値の高い住まいへと団地が再生された2つの事例を紹介しました。団地の持つコミュニティの底力が活性化され、街全体に活気をもたらすという点も見逃せません。
また、観月橋のプロジェクトによって、「団地R不動産」が生まれるなど、PRの新しい手法も加わりました。これは、不動産のセレクトショップと話題を呼んだ「東京R不動産」(新しい視点で不動産を紹介するサイト)が運営する、団地に特化した物件情報サイトです。
○団地R不動産のサイト
http://www.realdanchiestate.jp/
取材協力・写真提供/UR都市機構
■シリーズ記事
○団地再生の取り組み(2)
無印良品やイケアなどとの連携で、団地に個性を!
○団地再生の取り組み(3)
団地に高齢者も若者も!多世代交流&地域連携で活性化